薬剤師国家試験 第102回 問51 過去問解説

 問 題     

以下のレオグラムのA点から求められるのはどれか。1つ選べ。

  1. ヤング率
  2. 降伏値
  3. チキソトロピー
  4. 動粘度
  5. 弾性率

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

レオグラムとは、流体を2つの板にはさみ、板をずらす力(せん断応力。グラフ横軸)をだんだん強くした時、流体がずれる速度を縦軸にとったグラフです。本問のレオグラムを見ると、弱い力ではせん断速度が0。つまり動いていません。それがある力を超えると、ずるっと動き出しています。

このような物質としては、練る時の軟膏を考えると、わかりやすいのではないでしょうか。軟膏板に軟膏を絞り出し、軟膏ベラで表面をすごく優しくなでるように滑らせると絞り出した軟膏は動かない。→勢い良くヘラで伸ばすと、軟膏がずっと動いて薄く広がる というイメージです。すると、A点が示すものは「流体が動き出す力」です。これは降伏値と呼ばれます。

以上より、正解は 2 です。

ちなみに、ヤング率とは、伸びひずみのしやすさを示す定数のことです。これが高いと、力をかけてもあんまり変形しない と考えればよいです。

チキソトロピーとは、粘度が一時的に低下し放置すると元に戻る現象のことです。

動粘度とは、粘度を流体の密度(ρ)で割った値のことです。

弾性率とは、力を加えた時の、ひずみと力の割合のことです。ヤング率は、弾性率の一種です。他にポアソン比などがあります。

類題 100-52
参考 製剤学まとめ 流動と変形(レオロジー)の概念

コメント