薬剤師国家試験 第103回 問254-255 過去問解説

 問 題     

42歳女性。食後、みぞおちに差し込むような痛みが続いたため内科を受診し、胆石症による痛みと診断された。

問254

この患者の治療薬として適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. ウルソデオキシコール酸
  2. カモスタットメシル酸塩
  3. ランソプラゾール
  4. フロプロピオン
  5. シメチジン

問255

前問で適切と考えられた薬物の作用機序に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 胆石表面のコレステロールをミセル化することで胆石を溶解する。
  2. 胆嚢からの胆汁排泄を抑制する。
  3. カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)を阻害することでOddi括約筋を弛緩させる。
  4. タンパク質分解酵素を阻害する。
  5. H+,K+-ATPaseを阻害する。

 

 

 

 

 

正解.
問254:1, 4
問255:1, 3

 解 説     

問254

問255 とまとめて解説します。

問255

ウルソデオキシコール酸は、コレステロール系胆石の溶解目的で用いられます。

カモスタットメシル酸は、タンパク質分解酵素阻害薬です。すなわち、消化酵素阻害薬です。自己消化を防ぐことで膵炎の症状を緩和します。カモスタットは、主に慢性の膵炎に使用されます。胆石症には用いられません。

ランソプラゾールは、PPIです。胆石症には用いられません。

フロプロピオンは排胆薬です。COMT :catechol-O-methyltransferase を阻害することにより胆管平滑筋や Oddi 括約筋を弛緩させます。胆石の排出を促す目的で用いられます。

シメチジンは H2 ブロッカーです。胆石症には用いられません。

以上より、問254 の正解は 1,4 です。
問255 の正解は 1,3 です。

ちなみに、問255 の選択肢 1 がウルソの作用機序です。

選択肢 3 がフロプロピオンの作用機序です。

選択肢 4 がカモスタットの作用機序です。

選択肢 5 がランソプラゾールの作用機序です。

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