吸着平衡

溶媒のみの系が存在し(例えば、コップに純粋な水だけが入っている)そこに溶質分子を加えたとします。この時、溶質は「液体内部、及び界面に」分布します。そして、液体内部の溶質濃度と、界面の溶質濃度がある濃度で落ち着きます。界面において濃度差がおきる現象を吸着とよびます。落ち着いた状態を吸着平衡とよびます。

液体内部の溶質濃度の方が、界面の溶質濃度よりも小さい時、正吸着と呼びます。(界面いっぱい)

液体内部の溶質濃度の方が、界面の溶質濃度よりも大きい時、負吸着と呼びます。(界面少ない)この正吸着及び、負吸着により、溶液の表面張力が変化します。

平衡状態における吸着量は、温度、溶質の種類や濃度、溶媒の種類といった要素に依存します。
このうち、温度および物質の種類を固定し圧力や濃度を変化させたグラフのことを吸着等温線とよびます。

吸着等温線がどのようになるかは、主に溶質の種類によって分類されます。1 型と呼ばれる、NaCl のような表面不活性物質は、溶質が液体内部へと分散していくため、負吸着となり界面張力は溶質の濃度上昇に伴い少しずつ増加します。

2 型と呼ばれる、アルコールや脂肪酸のような表面活性物質は、溶質が界面へも吸着するため濃度増加に従い、界面張力が減少します。

3 型と呼ばれる、界面活性剤は、界面へ相当吸着することで濃度増加に従い、界面張力が著しく減少します。

界面活性剤とは、分子内に疎水基と親水基を有する化合物のことです。界面活性剤は大きくイオン性と、非イオン性に分類されます。

イオン性界面活性剤は更に、陽イオン性界面活性剤(ベンザルコニウム塩化物など)、陰イオン性界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウムなど)、両性界面活性剤(レシチン)に分類されます。

又、非イオン性界面活性剤は、大きくエステル型(ソルビタンセスキオレイン酸エステル
など)とエーテル型(ラウロマクロゴールなど)に分類されます。

イオン性界面活性剤の水に対する溶解度は、低温では低く、ある温度以上で急激に上昇するという特徴があります。この温度をクラフト点といいます。

非イオン性界面活性剤の場合、逆に、温度を高めると溶解性が低下し、溶液が白濁します。
この時の温度は曇点といいます。水素結合の切断によるものです。

一般に、界面活性剤の親水性と疎水性のバランスは、HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)と呼ばれる値により表されます。この値が大きいほど、親水性が大きいということを表します。

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