薬剤師国家試験 第97回 問318-319 過去問解説

 問 題     

保険薬局で、国民健康保険の被保険者であるAさんから、内科医院と歯科医院のそれぞれから発行された処方せんを同時に受け付けた。調剤報酬の請求と支払いの仕組みについて、以下の問に答えよ。なお、Aさんは公費負担の対象者ではない。

問318

以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 療養の給付に関し支払われる費用の額は、調剤報酬点数表に基づき計算される。
  2. 療養の給付に関し支払われる費用の請求は、社会保険診療報酬支払基金に行う。
  3. 保険薬局は、Aさんの経済状況を考慮して一部負担金を免除することができる。
  4. 療養の給付に係る審査は、保険者自身が行うことができる。
  5. 療養の給付に関して保険者が保険薬局に支払う費用は、すべて保険料で賄われている。

問319

Aさんの調剤報酬明細書(レセプト)の作成に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

  1. 調剤報酬明細書は、月毎にまとめて記載しなければならない。
  2. 内科と歯科の調剤報酬明細書は、分けて作成しなければならない。
  3. 同じ被保険者証記号番号のAさんの家族の請求は、同じ調剤報酬明細書に記載して請求しなければならない。
  4. 調剤報酬明細書には、処方せんを発行した医師の名前を記載しなければならない。
  5. 調剤報酬明細書には、調剤した薬剤師の名前を記載する必要はない。

 

 

 

 

 

正解.
問318:1, 4
問319:3

 解 説     

問318

療養の給付とは、被保険者が業務以外の理由で病気や怪我をしたときに保険医療機関で必要な医療を受け、保険薬局で処方せんに基づく調剤を受けることです。薬局における調剤の費用の額は、調剤報酬点数表に基づき計算されます。

国民健康保険の費用の請求は、国民健康保険団体連合会に対して行います。よって、社会保険診療報酬支払基金ではないので、選択肢 2 は誤りです。

保険薬局は、経済状況を考慮した一部負担金の免除はできません。経済状況を考慮した一部負担金の免除は、市町村への申請が必要です。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 はその通りの記述です。

療養の給付にあたり、被保険者による窓口負担が何割かあります。(年齢による区分、及び所得により分けられています)。全てが保険料で賄われているわけではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1,4 です。

問319

調剤報酬明細書は、毎月1日~月末までの分を翌月の10日前後に、国民健康保険は、地域の国民健康保険団体連合会へ提出します。つまり、月毎にまとめて記載します。

同じ人に対して、同じ月に複数の医療機関が処方せんを発行した場合、医療機関ごとに、診療報酬明細書を分けて作成します。よって、本問において、内科と歯科の調剤報酬明細書は、分けて作成しなければなりません。

診療報酬明細書は、被保険者ごとに作成します。同じ被保険者番号であっても、Aさんと家族の明細書は、別になります。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4,5 はその通りの記述です。
診療報酬明細書は、患者氏名、保険者番号、病名等を記入した上書き部分と、診療報酬点数、療養の給付、食事・生活療養の欄で構成されています。具体的には、患者氏名、性別、生年月日といった個人情報、患者の健康保険加入情報、請求元の名称、診療科、病名、診療月に行った薬、注射、処置、手術、検査、画像診断、リハビリなどの点数が記載されています。

以上より、正解は 3 です。

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