97回薬剤師国家試験 問320-321解説

 問 題     

一般用医薬品の販売について、以下の問に答えよ。

問320

一般用医薬品の販売における薬局薬剤師の対応として、適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. 特定銘柄の製品を指定して来局した購入希望者に対しては、症状や体質等を確認する必要はない。
  2. 第1類医薬品に該当する製品の購入希望者のうち、以前も同じ製品を購入したことが明らかな者に対しては、薬剤師の判断で情報提供をせずに販売することができる。
  3. 購入した製品について相談を受けたときには、その製品が該当する一般用医薬品の区分にかかわらず、相談に応じる。
  4. 一般用医薬品での自己治療の範囲を超えていると薬剤師が判断した場合には、購入希望者に受診を勧める。

問321

一般用医薬品であるガスター10®(ファモチジン10mg含有)を求めて消費者が来局した。薬剤師の対応として、適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. 使用者の年齢に関係なく服用できると説明した。
  2. 併用薬を確認した。
  3. ガスター10®の情報提供を、医療用医薬品の添付文書を使用して行った。
  4. ファモチジン製剤の医療用医薬品であるガスター®錠10mgと、効能・効果、用法・用量が同じであると説明した。
  5. 3日間服用しても症状が改善しない場合には、再度、相談に来るように説明した。

 

 

 

 

 

正解.
問320:3, 4
問321:2, 5

 解 説     

問320

一般医薬品でも、健康被害は発生しています。リスクの程度に合わせた情報提供が行われる必要があります。製品を指定して来局した購入希望者にも、リスクに合わせた症状や体質等の確認が必要であるといえます。よって、選択肢 1 は誤りです。

第 1 類医薬品に関しては、情報提供の義務があります。以前同じ製品を購入したことが明らかであっても、薬剤師の判断で情報提供をせずに販売することはできません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3,4 はその通りの記述です。

以上より、正解は 3,4 です。

問321

ガスター 10 は、小児(15歳未満)や高齢者(80歳以上)は、服用しないようになっています。よって、選択肢 1 は誤りです。

アゾール系抗菌薬など、飲み合わせの悪い薬を服用中でないか併用薬を確認するのは、適切な行為です。

第 1 類医薬品の提供においては、書面による情報提供が必要です。この書面とは、名称、成分、分量、用法、用量、効能、効果、注意点などを記載した書面のことです。各メーカーのサイトにおいて提供されています。薬局やドラッグストア独自の書面を作成していることもあります。必ずしもこの書面を購入者に交付する必要はありません。

医療用医薬品の添付文書は、情報提供という観点からみると不必要な情報が多く、わかりやすいと言いがたいものであり患者への情報提供の書面としては、適切であるとはいえません。よって、選択肢 3 は誤りです。

医療用医薬品であるガスター10® 錠10 mgと、一般用医薬品であるガスター10®では、添付文書を比較するとわかるのですが、効能・効果、用法・用量が異なります。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 はその通りの記述です。
3 日間服用しても症状の改善が見られない時は、別の疾患によって引き起こされている症状である可能性があり、そのまま服用をしても効果が期待できません。よって、服用を止めて、相談をするよう推奨するのが適切です。

以上より、正解は 2,5 です。

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