薬剤師国家試験 第99回 問322-323 過去問解説

 問 題     

70歳女性。圧迫骨折で入院中であり、以下の薬剤が処方された。昨日から咳と38℃の発熱が続いている。

問322

この処方において、患者の腎機能が低下している場合に、最も注意しなければならない薬剤はどれか。1つ選べ。

  1. イプリフラボン錠200mg
  2. メコバラミン錠500μg
  3. ジクロフェナクナトリウム錠25mg
  4. エペリゾン塩酸塩錠50mg
  5. 乳酸カルシウム水和物

問323

退院後、この患者は、入院していた医療機関の処方せんとともに、別の医療機関からの処方せんを保険薬局に持参した。薬局の薬剤師が確認したところ、処方せん中に重複している薬剤があることを発見した。

処方変更が必要と考え電話で処方医に問い合せたところ、処方医は他の患者の診察中であり、「処方どおりに調剤してください」とだけ回答があった。その後の薬剤師の行動として最も適切なのはどれか。1つ選べ。

  1. 医師が処方変更に応じないことへの不満を患者に伝えた。
  2. 処方どおりに調剤し、注意して服用するよう患者に指導した。
  3. 薬剤師の判断で、重複した薬剤を処方から削除して調剤した。
  4. 医師の心情に配慮して、次回の処方から変更してもらうことにした。
  5. 医師に正確に情報が伝わっていない可能性があると考え、再度医師に確認した。

 

 

 

 

 

正解.
問322:3
問323:5

 解 説     

問322

ジクロフェナクナトリウムは腎血流量低下作用があり、腎障害を悪化させることがあります。そのため、重篤な腎障害のある患者には投与禁忌です。

以上より、正解は 3 です。

問323

薬剤師法 24 条により、処方せん中に疑わしい点がある場合医師に確認をとった後でなければ調剤してはいけません。そして、本問の場合、他の患者の診察中であったこと、重複をふまえた返答かどうか判断できない点を考えると、正確に情報が伝わっていない可能性があると考えられます。そのため、再度医師に確認すべきであると考えられます。

以上より、正解は 5 です。

補足
本問の学習を通じて、ぜひイメージして欲しいのは、実際に調剤薬局で働き始めて3ヶ月ぐらい経って、疑義照会を行った時に、医師がこのような対応であった時確認をとらなければ、義務違反であるという知識です。

又、患者を長い時間待たせてしまうことから、そもそも疑義照会時に一声おかけした上で改めて、医師との連絡が不十分であったためもう一度連絡をとっている所です。もう少々お待ちくださいと声を改めてかけるといった具体的対応をイメージしつつ、復習するとよいと思います。(無事試験に通り、働くようになった時には、店舗の先輩たちがこのような事態にどう対応しているかをしっかりその場で学んでいけばよいと思います。)補足 終わり

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