薬剤師国家試験 第99回 問312-313 過去問解説

 問 題     

体調の不良を訴えて成人男性が薬局を訪れた。薬剤師が男性に質問した結果、現在の服用薬、副作用歴、アレルギー歴はないことを確認した。

問312

この男性が訴えた内容が以下のものであった場合、一般用医薬品で対応が可能と考えられるのはどれか。1つ選べ。

  1. 咳がひどく呼吸音がゼイゼイ、ヒューヒューという。
  2. 痰に血液が混じっている。
  3. 耳下腺が腫れている。
  4. 水のような鼻水が出ている。
  5. 筋肉痛を伴う39℃の急な発熱がある。

問313

薬剤師は、この男性の事例は一般用医薬品で対応できないと判断し、受診勧奨を行った。この男性は、医療機関で受診し、再び薬局を訪れた。薬剤師法に照らし、薬剤師の行為として正しいのはどれか。1つ選べ。

  1. ファクシミリで処方内容の連絡を受けていた薬剤を調製したが、この男性が処方せんを持参しなかったため、その薬剤を交付しなかった。
  2. この男性が処方せんに記載された薬剤とは異なる成分の薬剤を希望したため、その薬剤を調剤した。
  3. 処方せんに用法の記載がなかったため、一般的な用法を説明した。
  4. お薬手帳の記載から、処方された薬剤が以前使用されたことがあるとわかったため、情報提供を行わなかった。
  5. この男性から薬袋は不要であると申し出があったため、薬剤のみを交付した。

 

 

 

 

 

正解.
問312:4
問313:1

 解 説     

問312

選択肢 1 ですが
ゼイゼイ、ヒューヒューという呼吸音は喘鳴と呼ばれます。喘鳴を伴う咳では、ぜん息などが疑われ受診勧奨すべきです。一般用医薬品で、対応が可能とは考えられないと思われます。

選択肢 2 ですが
痰に血が混じっている場合は、単なる風邪ではなく呼吸器系の疾患などが疑われ受診勧奨すべきです。一般用医薬品で、対応が可能とは考えられないと思われます。

選択肢 3 ですが
耳下腺とは、おたふくかぜで膨れる所です。唾液腺の一種です。おたふくかぜなどが疑われ受診勧奨すべきです。一般用医薬品で、対応が可能とは考えられないと思われます。

選択肢 4 は、対応可能な事例と考えられます。さらさらした鼻水は花粉症や、アレルギー性鼻炎、風邪の初期などに見られる症状です。花粉症やアレルギー性鼻炎にはアレグラやアレジオン、風邪の初期には抗コリン成分を含んだ薬をお勧めするのがよいと考えられます。又、点鼻薬の使用も推奨可能であると思われます。

選択肢 5 ですが
筋肉痛を伴う、高熱はインフルエンザなどが疑われ受診勧奨すべきです。一般用医薬品で、対応が可能とは考えられないと思われます。

以上より、正解は 4 です。

問313

選択肢 1 は、正しい記述です。
処方せんの原本を忘れた場合に調剤はできません。

選択肢 2 ですが
異なる成分の薬剤を調剤することは処方せんの変更にあたります。薬剤師法に違反します。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
用法の記載がないため、処方せん中に疑わしい点があるときにあたります。この場合、疑問点について処方せんを交付した医師等に確認後でなければ調剤することはできません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
以前使用されたことがあるからといって、情報提供を行わなくてよいというわけではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
薬剤師法 25 条によれば、調剤した薬剤の容器や被包に規定事項の記載が義務付けられています。薬袋の再利用 (その都度、日付等を更新)であればよいのですが、薬剤だけをそのまま渡すのは薬剤師法違反となります。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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