問 題
56歳男性。腹痛のため近所の薬局を訪れて薬剤師に相談した。男性は、長年にわたって印刷工場で校正印刷用の印刷機の操作を行っているが、時々激しい腹痛があることを薬剤師に話した。
男性が働いている工場の内部は換気が不十分で、同じ作業に従事している同僚数人も同様の症状を訴えているとのことであった。薬剤師は男性の目を見て、眼球結膜が黄色を帯びていることに気づいた。
問242
相談を受けた薬剤師の対応として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- ビフィズス菌製剤の服用を提案した。
- ブチルスコポラミン臭化物製剤の服用を提案した。
- ピレノキシン製剤の点眼を提案した。
- 眼科医を受診するように勧めた。
- 内科医を受診するように勧めた。
問243
この印刷工場で使用され、症状を引き起こす原因となった可能性が高いと考えられる化学物質はどれか。2つ選べ。
正解.
問242:5
問243:2, 5
解 説
問242
印刷工場、激しい腹痛、眼球結膜の黄色 という情報から、職業性胆がんが疑われます。(平成24年3月の労災請求事件で一躍注目されるようになった職業病です。)すぐに内科医を受診するように勧めます。
以上より、正解は 5 です。
補足
眼球結膜が黄色を帯びている という状況を想像できるでしょうか。ぜひ「眼球結膜、黄色」で画像検索をして「自分が患者さんの、このような症状に注目して適切な対応をとれるかどうか」というシミュレーションを行ってみてください。補足 終わり
問243
選択肢の化合物は
1が、エチレングリコールです。保冷剤などに用いられます。
2が、ジクロロメタンです。洗浄剤に含まれます。
3が、ジクロロジフルオロメタンです。フロン類の一種です。
4が、ハロタンです。麻酔薬の一種です。
5が、1,2 – ジクロロプロパンです。洗浄剤に含まれます。
印刷工場で使用され、症状を引き起こす原因となった可能性が高いと考えられる化学物質は、ジクロロメタン 及び 1,2 – ジクロロプロパンです。
以上より、正解は 2,5 です。
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