99回薬剤師国家試験 問240-241解説

 問 題     

大気中には、花粉や土埃、ディーゼル排気粒子など様々な種類の粒子状物質が存在し、これらを吸入すると有害作用が現れることがある。

問240

大気中に浮遊する粒子状物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 環境基準が定められている「浮遊粒子状物質」は、粒径が10μm以下の粒子のことである。
  2. 2000年以降、浮遊粒子状物質の環境基準達成率は、10%程度で推移している。
  3. 環境基準が定められている「微小粒子状物質」は、粒径が0.1μm以下の粒子のことである。
  4. ハイボリュームエアサンプラーは、浮遊粒子状物質の試料採取に使われる装置の1つである。
  5. 非分散型赤外分析法は、浮遊粒子状物質の定量に用いられる方法の1つである。

問241

18歳男子。3月の土曜日、朝から快晴で花粉が舞っており、夕方過ぎより激しいくしゃみが出るようになり近所の薬局を訪れた。

対応した薬剤師は、この男子が毎年春にアレルギー性鼻炎で悩んでいることを知っており、一般用医薬品で症状を抑えることにした。翌週の水曜日には入学試験があるため、薬剤師はベクロメタゾンプロピオン酸エステルを含む点鼻薬を選択した。

この薬剤の服薬指導として適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. 来年の春まで、続けて使いましょう。
  2. 眠くなる成分は入っていませんので、安心して使用してください。
  3. くしゃみがひどく続くときには、のどに噴霧してかまいません。
  4. 症状が改善したら、使用回数を減らして様子をみましょう。
  5. 1日に何回使用してもかまいません。

 

 

 

 

 

正解.
問240:1, 4
問241:2, 4

 解 説     

問240

選択肢 1 は、その通りの記述です。
大気汚染防止施行規則 により定義されています。(ちなみに 「規則」とは、法律に基づき法を実施するために、具体的な内容を決める法規範の一種 です。)

選択肢 2 ですが
浮遊粒子状物質の環境基準達成率は、ここ数年ずっと90%を超えています。(この数字は、環境省が発表します。)よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
微小粒子状物質(PM 2.5)とは、大気中に浮遊する粒子物質のうちでも特に粒径の小さいものをいいます。具体的には、粒径 2.5 μm 以下の粒子物質です。0.1 μm 以下では、ありません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は、正しい記述です。

上のような装置です。
http://www.rex-rental.jp/tik/hv-500r.html
(計測器のレンタルを行っている会社のHP より)

選択肢 5 ですが
非分散型赤外線分光法とは、CO、CO2 、SO2 、NO 等の濃度を測定する方法です。これらの物質が吸収する特定の波長の光を照射し、吸収量から物質の量を測定します。浮遊粒子状物質の定量には、用いられません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1,4 です。

問241

選択肢 1 ですが
ステロイドを漫然と長期間使用することは副作用を回避するため、避けるべきです。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は、正しい記述です。

選択肢 3 ですが
点鼻薬は、主に局所作用を期待して用います。そのため、鼻でない所へ使用してはいけません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は、正しい記述です。

選択肢 5 ですが
ステロイド点鼻薬は、1日2回といった指定された用法・用量を守って使用しなければなりません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2,4 です。

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