薬剤師国家試験 第99回 問238-239 過去問解説

 問 題     

パーキンソン病の疑いで入院した患者に対し、交感神経の機能を評価するために、γ線を放出する放射性医薬品を用いて画像診断を行うことになった。

問238

次の医薬品のうち、この画像診断で使用される放射性医薬品(核種)はどれか。1つ選べ。

  1. 3-ヨードベンジルグアニジン(123I)
  2. 過テクネチウム酸ナトリウム(99mTc)
  3. 塩化インジウム(111In)
  4. クエン酸ガリウム(67Ga)
  5. クリプトン(81mKr)

問239

γ線に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 電磁波の一種である。
  2. 電離放射線の中で、放射線荷重係数が最も大きい。
  3. 電子と衝突して消滅し、その際、別の種類の放射線が放出される。
  4. 医療用のプラスチック製品の滅菌に用いられる。
  5. 厚さ1cmのアクリル板で遮蔽できる。

 

 

 

 

 

正解.
問238:1
問239:1, 4

 解 説     

問238

交感神経の機能評価のために用いられるのは、123I 標識メタヨードベンジルグアニジン(MIBG)です。構造は以下の通りです。

アドレナリンと類似した構造をしており、この MIBG の挙動に注目することにより交感神経の機能を評価します。

以上より、正解は 1 です。

ちなみに、選択肢 2 ですが
99mTc は、脳障害 や 甲状腺疾患 等の診断に用いられます。

選択肢 3 ですが
111Inは、造血骨髄 等の診断に用いられます。血清中のトランスフェリンと結合し鉄イオンと類似した血中動態を示します。

選択肢 4 ですが
67Ga は、悪性腫瘍や炎症性疾患 等の診断に用いられます。

選択肢 5 ですが
81mKr は、肺機能や脳血流 等の検査に用いられます。

問239

選択肢 1 は、その通りの記述です。
電磁波とは、電気と磁気の両方の性質を持つ波のことです。波長の短い方からγ 線 、 X線、 光(紫外線、可視光線、赤外線)・・・と分類されています。

選択肢 2 ですが
放射線荷重係数とは、放射線の種類による、同じ量を浴びた時の影響の大きさを修正するための係数です。γ 線 や X 線は、1 とされています。α 線 が、20 です。γ 線が一番大きいということは、ありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 の記述は
陽電子線(β+ 崩壊により生成される放射線。18F 等が代表的核種。)に関する記述です。γ 線に関する記述では、ありません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は、正しい記述です。

選択肢 5 ですが
γ 線は、1.5 cm 程度の鉛でようやく遮蔽できます。1 cm のアクリル板では、遮蔽はできません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1,4 です。

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