薬剤師国家試験 第99回 問224-225 過去問解説

 問 題     

65歳女性。身長162cm、体重56kg。B細胞性非ホジキンリンパ腫と診断され、次の治療を受けることになった。

問224

これらの処方に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 処方1の薬剤は、infusion reactionを軽減させる目的で投与される。
  2. 処方2の薬剤は、特定生物由来製品に指定されている。
  3. 処方2の薬剤を使用する前に、B型肝炎ウイルスの有無を確認する。
  4. 処方2の希釈時及び希釈後に、成分の凝集を避けるため泡立つまで激しく振とうする。

問225

リツキシマブについて、医薬品添付文書から(a)~(c)の情報が得られた。これらを参考にして、本剤に関する正しい記述を2つ選べ。

  1. 本剤は、マウス-ヒトキメラ型のモノクローナル抗体である。
  2. 本剤を実験動物に静注投与した結果、末梢血液中のB細胞(Bリンパ球)数は著しく減少したが、T細胞(Tリンパ球)数には変化を認めなかった。
  3. ヒト補体の存在下で、本剤をCD20陽性のヒト培養細胞に作用させたところ、その50%が溶解したが、同じ条件でCD20陰性の細胞は溶解しなかった。
  1. マウス抗体の定常部とヒト抗体の可変部を遺伝子工学的に融合し作製された抗体である。
  2. CD20分子に含まれる複数のエピトープ(抗原決定基)を認識し結合する。
  3. T細胞に比べ、B細胞への結合能が高いと考えられる。
  4. 古典経路による補体活性化を誘導すると考えられる。

 

 

 

 

 

正解.
問224:1, 3
問225:3, 4

 解 説     

問224

選択肢 1 は、その通りの記述です。
ちなみに、infusionreaction とは、プラチナ系抗がん剤やモノクローナル抗体などを投与中、もしくは投与後24時間以内に表れる症状の総称です。過敏症や、アレルギー症状と類似した悪寒、吐気、発疹などが認められます。

選択肢 2 ですが
特定生物由来製品とは、主に人の血液や組織に由来する原料又は材料を用いた製品です。乾燥人フィブリノゲンや、インターフェロンが代表例です。リツキシマブは特定生物由来製品には、指定されていません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は、その通りの記述です。
リツキシマブ投与により、B 型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎発症が認められることがあるため確認します。

選択肢 4 ですが
抗体が凝集するおそれがあるため、希釈時や希釈後に、泡立つような激しい振動を加えないように注意が必要です。よって、選択肢 4 は誤りです。

以上より、正解は 1,3 です。

問225

選択肢 1 ですが
可変部がマウス由来です。定常部がヒト由来です。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
モノクローナル抗体なので、認識するエピトープは1種類です。同じ抗原に応答するが、認識するエピトープが異なる複数の種類の抗体が混ざったものはポリクローナル抗体と呼ばれます。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3,4 は、正しい記述です。
3は、(b)の結果から推測されます。
4は、(c)の結果から推測されます。

古典経路とは、抗体が関与する補体活性化経路のことです。補体活性化経路は、代表的なものが3つあります。残り2つは、第二経路、及び、レクチン経路と呼ばれます。これらの経路では、抗体は関与しません。

以上より、正解は 3,4 です。

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