薬剤師国家試験 第99回 問176 過去問解説

 問 題     

大小2種類の粒子径を有する同一物質の混合粒子の質量を、分散沈降法により沈降天秤を用いて測定したところ、図に示す結果を得た。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。ただし、粒子の沈降はストークスの式に従うものとする。

  1. 大粒子と小粒子の粒子径比は2:1である。
  2. 大粒子と小粒子の粒子径比は4:1である。
  3. 大粒子と小粒子の質量比は1:2である。
  4. 大粒子と小粒子の質量比は2:3である。
  5. 大粒子と小粒子の質量比は1:4である。

 

 

 

 

 

正解.1, 5

 解 説     

大小2種類の粒子径を有する物質の沈降では ① 大粒子・小粒子共に沈降するが先に大粒子が全て沈降(容器の底に到着)→② 後は小粒子だけが沈降していく という点が、ポイントです。これは、横軸に時間、縦軸に累積質量をとったグラフにおける「傾きの違う2つの部分」として表れてきます。

グラフより、10分間で傾きが変わっています。これは、10分で、大粒子が全て沈降し終わったということを表しています。一方、小粒子が全て沈降するまで40分かかっています。かかる時間の逆比が沈降速度の比となります。(時間が2倍かかっているなら、速さは1/2 倍 という関係 のことです。)つまり、沈降速度の比は、大粒子 : 小粒子 が  4 : 1 です。

ストークスの式により、沈降速度は粒子径の2乗に比例します。

よって、粒子径は、大粒子 : 小粒子 = 2 : 1 です。

又、累積質量は 0.5 g であり、緩やかな傾きの直線部分を延長して縦軸と交わった点が 0.1 g なので、大粒子 が 0.1 g 、小粒子 が 0.5 - 0.1 = 0.4 gとわかります。よって、質量比は、大粒子 : 小粒子 = 1 : 4 です。

以上より、正解は 1,5 です。

参考 物理化学まとめ 沈降現象

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