薬剤師国家試験 第99回 問164 過去問解説

 問 題     

感染症治療薬の作用機序に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. テイコプラニンは、リボソームの50Sサブユニットに結合し、タンパク質の合成を阻害する。
  2. ジダノシンは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の逆転写酵素を阻害し、HIVの増殖を抑制する。
  3. テルビナフィンは、スクアレン-2,3-エポキシダーゼを阻害し、真菌細胞膜成分のエルゴステロールの生合成を阻害する。
  4. フルシトシンは、ラノステロールC-14脱メチル化酵素を阻害し、真菌細胞膜成分のエルゴステロールの生合成を阻害する。
  5. リファンピシンは、ペプチドグリカン前駆体と結合し、細胞壁の合成を阻害する。

 

 

 

 

 

正解.2, 3

 解 説     

選択肢 1 ですが
テイコプラニンは、細胞壁合成阻害薬です。タンパク質の合成を阻害するわけではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。ちなみに、代表的なリボソーム 50S サブユニットに結合してタンパク質合成を阻害する薬としては、マクロライド系抗生物質(クラリスロマイシン等)があります。

選択肢 2,3 は、正しい記述です。

選択肢 4 ですが
フルシトシンは、真菌細胞内で代謝され、5-FU となり核酸合成を阻害する薬です。エルゴステロールの生合成阻害薬では、ありません。よって、選択肢 4 は誤りです。ちなみに、記述は、アゾール系(イトラコナゾールなど)に関するものと考えられます。

選択肢 5 ですが
リファンピシンは、DNA 依存性 RNA ポリメラーゼ阻害薬です。細胞壁合成阻害薬では、ありません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2,3 です。

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