薬剤師国家試験 第99回 問106 過去問解説

 問 題     

ドネペジル(A)は、α,β-不飽和カルボニル化合物(B)を生成するアルドール縮合を経て合成される。このアルドール縮合において用いられるカルボニル化合物は1~6のうちどれか。2つ選べ。

 

 

 

 

 

正解.1, 5

 解 説     

α水素を有するアルデヒド(またはケトン)が酸もしくは塩基の存在下、2 分子間で起きる付加反応がアルドール反応で、そこからさらに脱水反応が進んでα,β-不飽和アルデヒド(ケトン)が得られる反応のことをアルドール縮合といいます。詳しくは 有機化学まとめ aldol反応・aldol縮合 を参照してください。

この問題では、選択肢中の 2 つの化合物が縮合して、化合物 B になればいいのですが、大雑把にみて、選択肢 1~3 のどれかと、選択肢 4~6 のどれかが縮合すると考えることができます。

選択肢 1~3 のほうはわかりやすく、ひと目で 1 が正解だとわかります。その理由は、反応点(化合物の右端の部分)にα水素を持つのが 1 だけだからです。(α水素とは、カルボニル基に隣接する炭素に結合している水素原子のことで、これがないとアルドール反応は起こりません。)

余談として、選択肢 3 については構造式の右端にあるカルボニル基を軸に考えると、α水素を持っているといえます。しかし、ここでアルドール反応が起きたら、少なくとも化合物 B のようなものにはなりませんので、この問題では誤りとなります。

選択肢 1 が正解とわかれば、選択肢 1 と化合物 B を見比べて、炭素数を数えれば選択肢 4~6 のほうも答えが出ます。つまり、化合物 B の左側の 5 員環と右側の N を含む 6 員環の間には C が1つだけなので、選択肢 5 が正解となります。

以上より、正解は 1 と 5 です。

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