薬剤師国家試験 第98回 問304-305 過去問解説

 問 題     

1歳6ヶ月男児。身長80cm、体重10kg。てんかんの治療のためにバルプロ酸ナトリウムを投与することになった。

問304

この患児において、定常状態におけるバルプロ酸の平均血清中濃度が60μg/mLとなるように初期投与量を設定したい。バルプロ酸ナトリウムの1日経口投与量(mg)として、最も適切な値を1つ選べ。

ただし、バルプロ酸ナトリウム投与により求めた小児における経口クリアランスの代表値は男児で12.5mL/h/kgとする。

  1. 18
  2. 30
  3. 180
  4. 300
  5. 1,800

問305

この患児に、バルプロ酸ナトリウムシロップ5%が、前問で設定した1日投与量で1日2回、30日分処方された。

調剤する際に、1回服用量が整数mLになるように、単シロップを用いて最小限の賦形を行うことにした。内用液剤容器の容量(mL)として、最も適切な容器を1つ選べ。ただし、内用液剤容器の選択は、薬剤の総量を超えた最小の容量のものを選択する。

  1. 60
  2. 100
  3. 200
  4. 300
  5. 500

 

 

 

 

 

正解.
問304:3
問305:3

 解 説     

問304

に代入します。

この子のクリアランスは、体重が 10kg なので 12.5 × 10 = 125 (mL/h) です。1日当りでは
125 × 24 = 3000 mL/day です。又、血中濃度の単位を mg にあわせると、60 μg/mL = 0.06 mg/mL となります。

投与量を x mg/day とおいて、式に代入すれば

なので、 x = 180 です。

以上より、正解は 3 です。

問305

前問において、1日投与量は 180 mg = 0.18 g です。5 % シロップなので、1日量は x ml とすると 0.05 x = 0.18 なので x = 3.6 (ml) です。

30 日分なので、 3.6 × 30 = 108 ml で、60 回分なので、 60 の倍数にするために、12 ml 単シロップを加えて賦形します。すると 120 ml になるので最小の容器は 選択肢の中では 200 ml です。(コップに 1 目盛り 2 ml としてとるのは難しいので、スポイトに印をつけてお渡しすることになると考えられます。)

以上より、正解は 3 です。

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