問 題
35歳男性。体重60kg。庭で作業中、スズメバチに刺された。局所が腫れ上がるとともに、呼吸困難を感じ、さらに全身にじんま疹が出現した。そこで救急外来を受診した。
問294
この患者の病態に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- マスト(肥満)細胞の脱顆粒が起こる。
- 症状のピークは数時間後である。
- 循環血液量が増加し、血圧が上昇する。
- 喉頭や気管の浮腫を伴う。
- 徐脈の合併が多い。
問295
その後、入院加療にて改善した。今後、同様の反応を繰り返す危険性があるため、退院時にアドレナリンの自己注射薬が処方された。症状発現時にいつでも自己注射できるよう、薬剤師が「患者向医薬品ガイド」を参考に服薬指導した。
「患者向医薬品ガイド」に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 「くすりのしおり」の別称であり、同一のものである。
- 当該医薬品の製造販売業者が作成している。
- すべての医療用医薬品について作成されている。
- 薬剤の効果に関する内容は記載されていない。
- 医薬品医療機器総合機構が管理している医薬品医療機器情報提供ホームページから入手できる。
正解.
問294:1, 4
問295:2, 5
解 説
問294
アナフィラキシーショックは、1 型アレルギーの一種です。花粉症などと同じ分類です。メカニズムは、過剰な免疫応答であり、IgE を介しての肥満細胞の脱顆粒などが引き起こされます。ハチに刺されて0~30分以内という、即時に、症状が表れます。
症状としては、大雑把に言えば、色んな液や物がどばっと色んな所から出ます。具体的には、多尿、呼吸困難、流涙、嘔吐、下痢、不安などです。
ミクロなレベルでは、血管拡張と、血流から組織への体液流出、それに伴う浮腫、血流量の低下に伴う低血圧、代償としての頻脈が引き起こされます。
以上より、正解は 1,4 です。
問295
患者向医薬品ガイドとは、患者の皆様や家族の方に重大な副作用の早期発見などに役立てて頂くことを目的とした添付文書を基にわかりやすく記載をしたガイドのことです。PMDA のホームページからダウンロードできます。
くすりのしおり とは、くすりの適正使用協議会が開発した、インフォームドコンセントの実践に利用できる材料です。患者さんに十分理解してもらえるようわかりさすい表現で必要最小限の情報を盛り込んでいることや、一部が英語訳されていることなどが特徴です。くすりのしおりホームページで見ることができます。よって、別物です。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 はその通りの記述です。
患者向医薬品ガイドは、全ての医薬品について作られているわけではありません。重篤な副作用の早期発見等を促すために、特に患者へ注意喚起すべき情報等を有する医療用医薬品について作成が望まれるものです。よって、選択肢 3 は誤りです。
患者向け医薬品ガイドには、薬の効果、用法、用量、副作用、保管方法などについて記載がされています。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 はその通りの記述です。
以上より、正解は 2,5 です。
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