薬剤師国家試験 第98回 問157 過去問解説

 問 題     

心不全治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. カルペリチドは、アデニル酸シクラーゼを活性化し、利尿作用と血管拡張作用を示す。
  2. デノパミンは、アドレナリンβ1受容体を刺激し、心筋収縮力を増大させる。
  3. エナラプリルは、アンギオテンシンAT1受容体を遮断し、心負荷を軽減させる。
  4. オルプリノンは、グアニル酸シクラーゼを直接活性化し、心筋収縮力を増大させる。
  5. ピモベンダンは、トロポニンのCa2感受性を上昇させ、心筋収縮力を増大させる。

 

 

 

 

 

正解.2, 5

 解 説     

カルペリチドは、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP:atrial natriuretic peptide)製剤です。血管及び腎臓における ANP 受容体に作用して、膜結合型グアニル酸シクラーゼを活性化します。その結果、細胞内 cGMP が増加し、血管拡張、利尿作用が引き起こされます。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 はその通りの記述です。

エナラプリルは、ACE阻害薬です。アンギオテンシン AT1 受容体を遮断するわけではないので選択肢 3 は誤りです。

オルプリノンは、ホスホジエステラーゼ III 阻害薬です。心筋と血管平滑筋のホスホジエステラーゼ III を選択的に阻害し、細胞内 cAMP を増加させることで、心筋収縮力を増加させると共に
血管拡張を行い、後負荷を軽減させます。よって、グアニル酸シクラーゼを直接活性化するわけではないので選択肢 4 は誤りです。

以上より、正解は 2,5 です。

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