薬剤師国家試験 第98回 問134 過去問解説

 問 題     

電離放射線の人体影響に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 影響は、確定的影響と確率的影響とに分けることができる。
  2. 確定的影響には、しきい値が存在しない。
  3. 等価線量は、人体への被曝線量を評価するために用いられる。
  4. 酸素効果とは、酸素の存在により放射線の影響が減弱されることである。
  5. 脂肪組織は、骨髄組織と同程度の感受性を示す。

 

 

 

 

 

正解.1, 3

 解 説     

選択肢 1 はその通りの記述です。

しきい値とは、境目になる値のことです。確定的影響には、しきい値が存在します。すなわち、ある程度以上の放射線を浴びていなければ影響がでないということです。それに対して、確率的影響には、しきい値が存在しません。つまり、どれくらい少量の放射線を浴びようとも、影響が少しはあるということです。よって、選択肢 2 は誤りです。

等価線量とは、吸収線量に、放射線の種類にもとづく違いを考慮した値のことです。人体へ及ぼす影響を評価する時に用いられる値です。

酸素効果とは、酸素の存在により、放射線の影響が増強されることです。よって、減弱されることではないので、選択肢 4 は誤りです。

組織に対する放射性の感受性は、おおざっぱにいうと、分裂が盛んな所ほど大きくなります。骨髄は、とても感受性の高い組織です。脂肪組織は、感受性がそれほど高くはない組織です。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1,3 です。

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