薬剤師国家試験 第98回 問107 過去問解説

 問 題     

プロプラノロールは、エナンチオマー間で交感神経のアドレナリンβ受容体遮断作用に差があることが知られている。プロプラノロールの受容体結合部位との相互作用に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. ファーマコフォアでは、三次元的な構造が重要である。
  2. 側鎖上のイソプロピル基は、結合部位と水素結合を形成する。
  3. 側鎖上のNHは、結合部位と疎水性相互作用する。
  4. 側鎖上のOHは、結合部位と水素結合を形成する。
  5. エーテル結合の酸素は、結合部位とイオン結合を形成する。

 

 

 

 

 

正解.1, 4

 解 説     

ファーマコフォアとは「特定の生物学的標的との、、、相互作用を確実にし、、、生物学的反応を引き起こすために必要な、立体的、電子的特徴の集合体」と定義されています。よって、立体的な構造、すなわち三次元的な構造が重要です。選択肢 1 はその通りの記述です。

イソプロピル基は、疎水相互作用を担いますが、水素結合は形成しません。よって、選択肢 2 は誤りです。

側鎖上の NH は、結合部位と水素結合を形成しますが、疎水相互作用は担いません。よって、選択肢 3 は誤りです。(選択肢 2 と 3 は、記述が入れ替わっていると思われます。)

OH は、水素結合を形成します。選択肢 4 はその通りの記述です。

エーテル結合の酸素は、イオン結合を形成することはありません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1,4 です。

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