98回薬剤師国家試験 問2解説

 問 題     

コロイド粒子の物性と最も関連性のない現象はどれか。1つ選べ。

  1. チンダル現象
  2. ブラウン運動
  3. 塩析
  4. コンプトン散乱
  5. 電気二重層の形成

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

コロイド粒子とは、1nm~1μm の粒子です。電子顕微鏡、限外顕微鏡により観察することができます。粒子はブラウン運動と呼ばれる不規則な運動をしています。ブラウン運動とは、溶媒の分子が粒子に衝突することによる、不規則な運動のことです。

コロイド溶液に共通する光学的性質として、チンダル現象と呼ばれる現象があります。これは、コロイド溶液に強い光をあてると、光の通路が見えるという現象です。

インスリンや、ミセルなどのコロイド溶液は、大量の電解質を加えると凝集します。この現象を、塩析と呼びます。

電気二重層とは、界面に正負の荷電粒子が対を形成して層状に並んだものです。コロイド粒子と、分散媒の界面などで形成されます。よって、選択肢 1,2,3,5 はコロイド粒子の物性と関連性のある現象です。

ちなみに、コンプトン散乱とは
電磁波を物質にあてた時、散乱してでてくる電磁波の波長が入射電磁波の波長よりも大きくなるという現象です。これは、物質との間のエネルギーのやり取りに起因します。コロイド粒子の物性とは、関係がありません。

以上より、正解は 4 です。

参考 製剤学まとめ 代表的な分散系

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