問 題
高カロリー輸液療法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 腸閉塞で消化管からの栄養補給ができない患者に適用できる。
- 乳酸アシドーシスの予防のため、ビタミンB1の併用が必要である。
- 腎不全患者では、窒素に対する非タンパク質カロリーの比を150~200に設定する。
- ナトリウムイオンの1日投与量として、20~30mEq/kgを目安とする。
- 浸透圧比を1~2に設定する。
正解.1, 2
解 説
選択肢 1,2 はその通りの記述です。
非タンパク質カロリーの、窒素に対する比は、NPC/N(non – protein calorie/nitrogen)比と呼ばれます。投与されたアミノ酸以外の栄養素(糖質 + 脂肪)から計算されるエネルギー量を、アミノ酸に含まれる窒素量で割ったものです。
アミノ酸は、十分なエネルギー投与がないと、エネルギー源として消費されてしまいます。すなわち、タンパク質が合成されません。術後などのストレス下においては、大体 120 ~ 150 あれば、タンパク合成が順調に行われます。
一方で、腎不全患者では、窒素の投与量が制限され、分母の N が小さくなることにくわえ、タンパク代謝の亢進を意図して、高めのエネルギ-が必要とされます。そのため、NPC/N比は、大体300~500を目安に設定されます。よって、選択肢 3 は誤りです。
ナトリウムイオンの 1 日投与量の目安は 1.0 ~ 1.5 mEq / kg です。よって、選択肢 4 は誤りです。
浸透圧比とは、血液や生理食塩水を基準とした、輸液の浸透圧の比です。大体 3 を超えると、静脈炎が起きるため、末梢からは輸液できません。高カロリ-輸液は、末梢からは投与できない高濃度の輸液であるため一般に浸透圧比は 3 を超えます。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,2 です。
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