薬剤師国家試験 第97回 問304-305 過去問解説

 問 題     

EBMに関する以下の問に答えよ。

問304

ある薬物療法において、治療群と対照群における生存数と死亡数が以下の表のように表されるとき、オッズ比と相対リスクの組合せとして、正しいのはどれか。1つ選べ。

  •   オッズ比       相対リスク
  1. ad/(bc)          ad/(ad+bc)
  2. ad/(ad+bc)      [a/(a+b)]/[c/(c+d)]
  3. ad/(bc)          [a/(a+b)]/[c/(c+d)]
  4. [a/(a+b)]/[c/(c+d)]  ad/(bc)
  5. [a/(a+b)]/[c/(c+d)]  ad/(ad+bc)

問305

急性心筋梗塞発症後の患者を対象にして、心血管系疾患による死亡に対するアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の予防効果を評価するためにメタアナリシスを行った。

その結果、対照群に対するACE阻害薬群の心血管系疾患による死亡のオッズ比は0.83(95%信頼区間:0.70~0.98)であった。これに対する考察として、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. オッズ比が0.83と1に近い値であるため、両群間で心血管系疾患による死亡リスクに統計学的に有意な差はみられない。
  2. オッズ比が1未満であるため、ACE阻害薬には心血管系疾患による死亡リスクを減少させる傾向がある。
  3. オッズ比の95%信頼区間に0.28の幅があるため、ACE阻害薬は心血管系疾患による死亡リスクを統計学的に有意に減少させていない。
  4. オッズ比の95%信頼区間が1をはさんでいないため、このメタアナリシスは統計学的に有意な結果を与えている。

 

 

 

 

 

正解.
問304:3
問305:2, 4

 解 説     

問304

オッズ比については
衛生薬学まとめ 症例対照研究、オッズ比

相対リスク(相対危険度)については
衛生薬学まとめ 要因・対照研究(コホート研究)、相対危険度、寄与危険度 をそれぞれ参照してください。

正解は、3です。

問305

オッズ比がちょうど1ならば、2つの群に差はありません。今回はオッズ比が0.83(95% 信頼区間:0.70〜0.98)であり、95%信頼区間が1をまたいでいません。統計学的に意味のある結果であるといえます。よって、選択肢 1 は誤りです。

さらに、オッズ比が1を下回っています。心血管系疾患による死亡リスクを減少していると捉えることができる結果です。よって、選択肢 3 は誤りです。

つまりまとめると、統計学的に有意に、ACE阻害剤群が心血管系疾患による死亡リスクを減少させているといえます。

以上より、正解は 2,4 です。

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