問 題
68歳女性。腰痛を主訴に整形外科に通院し、以下の薬剤が処方されていた。歩行等に問題はない。腰椎骨密度は、若年成人平均値(YAM)比が1年前は67%であったのに対し、1ヶ月前の結果は69%と改善傾向を示した。
問296
本疾患及び患者について、誤っているのはどれか。2つ選べ。
- 腸管からのカルシウム吸収が低下している。
- 骨吸収、骨形成がともに低下しているが、骨形成の低下が改善されている。
- 脊椎圧迫骨折、大腿骨頸部骨折などの骨折の危険性がある。
- 血清カルシウム濃度の制御に副甲状腺ホルモン、カルシトニン、活性型ビタミンDが関与する。
- 血清カルシウム濃度は上昇している。
問297
この患者が同居の家族と一緒に処方せんを持って保険薬局を訪れた。薬は、本人が自分で管理していた。今回、リセドロン酸ナトリウム錠とレバミピド錠の残薬があることがわかった。
この患者の服薬上の問題に対して、適切と考えられる対応はどれか。1つ選べ。
- リセドロン酸ナトリウム錠は、起床時服用のため飲み忘れがあると判断し、朝食後服用への変更を医師に提案した。
- レバミピド錠は、昼の飲み忘れが多いと判断し、朝食後に2錠、夕食後に1錠服用するように指導した。
- 骨密度はほぼ改善しているので、ロキソプロフェンナトリウム錠の服用中止を提案した。
- 同居の家族にも処方薬の服用方法を説明し、服用確認をお願いした。
正解.
問296:2, 5
問297:4
解 説
問296
選択肢 1 はその通りの記述です。
加齢と共に、腸管からのカルシウム吸収は低下していきます。
リセドロン酸ナトリウムは、ビスホスホネート製剤です。破骨細胞の抑制により、骨吸収を抑制することで、骨密度を高めます。骨吸収の抑制により、骨から血液へのカルシウム移行が抑制されるので血中のカルシウム濃度は減少します。よって、骨形成の低下が改善されているわけではないので選択肢 2 は誤りです。
又、血清カルシウム濃度が上昇するわけではないので、選択肢 5 は誤りです。
選択肢 3,4 はその通りの記述です。
以上より、正解は 2,5 です。
問297
リセドロン酸は、腸管からの吸収が悪いため、消化管が空に近い状態で服用します。よって、朝食後への変更は、適切とはいえません。選択肢 1 は誤りです。
レバミピドの用法は、1日3回です。又、薬剤師の判断で、処方と異なる用法を推奨するのは、適切とはいえません。選択肢 2 は誤りです。
YAM 平均値の70%以下の場合は、骨粗しょう症の可能性があります。よって、骨密度がほぼ改善しているという判断はできません。又、痛みに関してはこの設問からは読み取れず、痛み止めのロキソプロフェンの服用中止の提案は適切とはいえません。よって、選択肢 3 は適切とはいえません。
以上より、正解は 4 です。
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