薬剤師国家試験 第97回 問256-257 過去問解説

 問 題     

75歳女性。脊椎椎体骨折と診断された。投薬に際して、以下の服薬指導が行われた。

起床時にコップ一杯の水とともに服用して下さい。水以外の飲食を避け、他の薬剤の服用も避けて下さい。服用後少なくとも30分経ってから食事をとり、食事を終えるまで横にならないで下さい。また、歯科を受診する場合には、必ずこの薬を服用していることを医師に伝えて下さい。

問256

上記の服薬指導が行われた薬剤はどれか。1つ選べ。

  1. アレンドロン酸ナトリウム水和物錠
  2. ラロキシフェン塩酸塩錠
  3. メナテトレノンカプセル
  4. 乳酸カルシウム水和物錠
  5. アルファカルシドール錠

問257

問256に記載された薬剤の有効成分の作用機序に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

  1. アレンドロン酸は、活性型ビタミンD存在下にオステオカルシンの生成を促進し、骨形成を促進する。
  2. ラロキシフェンは、骨の上皮小体ホルモン(PTH)受容体にアゴニストとして作用し、骨吸収を抑制する。
  3. メナテトレノンは、カルシトニンの分泌を促進し、骨芽細胞の機能を亢進して骨形成を促進する。
  4. 乳酸カルシウムは、ヒドロキシアパタイトの結晶形成を促進し、破骨細胞による骨吸収を抑制する。
  5. アルファカルシドールは、腸管でのCa2吸収を促進し、血清カルシウム値を上昇させる。

 

 

 

 

 

正解.
問256:1
問257:5

 解 説     

問256

本問のような服薬指導が行われるのは、ビスホスホネート剤です。選択肢の中で、ビスホスホネート剤は、アレンドロン酸ナトリウム水和物錠です。

以上より、正解は 1 です。

ちなみに、ラロキシフェン(エビスタ)は、SERM(selective estrogen receptor modulator)です。SERM は、骨には女性ホルモン様に作用しますが、子宮や乳においては抗女性ホルモン作用を示します。そのため、乳がんや子宮がんのリスクが小さい骨粗しょう症薬として、広く用いられています。

メナテトレノンは、ビタミン K2 です。骨形成促進作用があります。凝固系促進薬でもあります。

乳酸カルシウムは、カルシウムを補給する薬です。他の骨粗しょう症薬と併用することがあります。

アルファカルシドール(ワンアルファ、アルファロール)は、活性型ビタミン D3 製剤です。骨粗しょう症薬です。

問257

アレンドロン酸は、破骨細胞に特異的に作用し、骨吸収を抑制して作用します。

選択肢 1 の記述は、メナテトレノンについてのものです。よって、選択肢 1 は誤りです。

ラロキシフェンは、骨のエストロゲン受容体に選択的に作用します。よって、上皮小体ホルモン受容体に作用するわけではないので、選択肢 2 は誤りです。

メナテトレノンは、活性型ビタミンD存在下にオステオカルシンの生成を促進し、骨形成を促進します。よって、カルシトニンの分泌を促進するわけではないので、選択肢 3 は誤りです。

乳酸カルシウムは、カルシウムの補充薬です。破骨細胞による骨吸収を抑制するといった作用はありません。よって、選択肢 4 は誤りです。

アルファカルシドールは、活性型 VD3 製剤です。腸管からの Ca 吸収を促進し、血清 Ca 値を上昇させます。

以上より、正解は 5 です。

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