問 題
75歳女性。脊椎椎体骨折と診断された。投薬に際して、以下の服薬指導が行われた。
起床時にコップ一杯の水とともに服用して下さい。水以外の飲食を避け、他の薬剤の服用も避けて下さい。服用後少なくとも30分経ってから食事をとり、食事を終えるまで横にならないで下さい。また、歯科を受診する場合には、必ずこの薬を服用していることを医師に伝えて下さい。
問256
上記の服薬指導が行われた薬剤はどれか。1つ選べ。
- アレンドロン酸ナトリウム水和物錠
- ラロキシフェン塩酸塩錠
- メナテトレノンカプセル
- 乳酸カルシウム水和物錠
- アルファカルシドール錠
問257
問256に記載された薬剤の有効成分の作用機序に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
- アレンドロン酸は、活性型ビタミンD存在下にオステオカルシンの生成を促進し、骨形成を促進する。
- ラロキシフェンは、骨の上皮小体ホルモン(PTH)受容体にアゴニストとして作用し、骨吸収を抑制する。
- メナテトレノンは、カルシトニンの分泌を促進し、骨芽細胞の機能を亢進して骨形成を促進する。
- 乳酸カルシウムは、ヒドロキシアパタイトの結晶形成を促進し、破骨細胞による骨吸収を抑制する。
- アルファカルシドールは、腸管でのCa2+吸収を促進し、血清カルシウム値を上昇させる。
正解.
問256:1
問257:5
解 説
問256
本問のような服薬指導が行われるのは、ビスホスホネート剤です。選択肢の中で、ビスホスホネート剤は、アレンドロン酸ナトリウム水和物錠です。
以上より、正解は 1 です。
ちなみに、ラロキシフェン(エビスタ)は、SERM(selective estrogen receptor modulator)です。SERM は、骨には女性ホルモン様に作用しますが、子宮や乳においては抗女性ホルモン作用を示します。そのため、乳がんや子宮がんのリスクが小さい骨粗しょう症薬として、広く用いられています。
メナテトレノンは、ビタミン K2 です。骨形成促進作用があります。凝固系促進薬でもあります。
乳酸カルシウムは、カルシウムを補給する薬です。他の骨粗しょう症薬と併用することがあります。
アルファカルシドール(ワンアルファ、アルファロール)は、活性型ビタミン D3 製剤です。骨粗しょう症薬です。
問257
アレンドロン酸は、破骨細胞に特異的に作用し、骨吸収を抑制して作用します。
選択肢 1 の記述は、メナテトレノンについてのものです。よって、選択肢 1 は誤りです。
ラロキシフェンは、骨のエストロゲン受容体に選択的に作用します。よって、上皮小体ホルモン受容体に作用するわけではないので、選択肢 2 は誤りです。
メナテトレノンは、活性型ビタミンD存在下にオステオカルシンの生成を促進し、骨形成を促進します。よって、カルシトニンの分泌を促進するわけではないので、選択肢 3 は誤りです。
乳酸カルシウムは、カルシウムの補充薬です。破骨細胞による骨吸収を抑制するといった作用はありません。よって、選択肢 4 は誤りです。
アルファカルシドールは、活性型 VD3 製剤です。腸管からの Ca 吸収を促進し、血清 Ca 値を上昇させます。
以上より、正解は 5 です。
コメント