薬剤師国家試験 第97回 問252-253 過去問解説

 問 題     

85歳女性。ひとり暮らし。交付された処方せんを、保険薬局に持参した。

問252

処方せん受付時に患者から、最近、薬の飲み忘れと飲み間違いが多いとの訴えがあった。なお、このことは医師に話していないということであった。薬剤師の対応として、適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. お薬カレンダーを利用するなど、飲み忘れを防ぐ方法を指導した。
  2. 処方医には問い合わせず、アトルバスタチンカルシウム水和物とアムロジピンベシル酸塩の配合剤で調剤した。
  3. 飲み忘れた時は、翌日に2回分を飲むよう指導した。
  4. 処方医に上記の件を報告し、一包化を提案した。

問253

この処方により経過を見たところ、低K+血症が認められた。その原因となった薬剤の作用機序はどれか。1つ選べ。

  1. 上皮性Naチャネル遮断
  2. 炭酸脱水酵素阻害
  3. 腎集合管における水の再吸収抑制
  4. Na-K交換系抑制
  5. Na-K-2Cl共輸送系抑制

 

 

 

 

 

正解.
問252:1, 4
問253:5

 解 説     

問252

選択肢 1 は、対応として適切であるといえます。
お薬カレンダーとは、毎日の薬を曜日ごと、朝、昼、夜、寝る前と整理して収納できるカレンダーです。一目でどの薬を飲めばよいかがわかります。

問い合わせなく、合剤に変更することはできないので、選択肢 2 は誤りです。

飲み忘れた時は、1回分を翌日に飲めばよく、2回分を飲むよう指導するのは不適切です。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は、対応として適切であるといえます。
飲み忘れや飲み間違いに、一包化は有効な対応です。

以上より、正解は 1,4 です。

問253

アトルバスタチン(リピトール)は、スタチン系のコレステロール低下薬です。HMG-CoA 還元酵素を阻害することにより、コレステロール合成経路の律速段階であるメバロン酸合成を阻害します。代表的な副作用は、横紋筋融解症です。

フロセミド(ラシックス)は、ループ利尿薬です。Na+ -K+ -2Cl+ー 共輸送系抑制することで、速効性かつ強力な利尿作用を示します。代表的な副作用は、低K+血症です。

アムロジピンベシル酸塩(ノルバスク、アムロジン)は、Ca 拮抗薬です。副作用の少ない薬として広く使われています。まれに顔面紅潮、浮腫、歯肉増生などが見られます。

低 K+ 血症は、フロセミドの副作用ではないかと考えられます。

以上より、正解は 5 です。

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