問 題
65歳男性。20歳の頃より1日20~40本の喫煙歴があり、現在は1日20本喫煙している。また、前立腺肥大症による排尿障害のため、泌尿器科で治療を受けている。数年前より咳を自覚していたが、最近歩行時の息切れ及び膿性喀痰が出現するようになり、来院した。
【身体所見】
血圧 130/74mmHg、脈拍 90/分 整(初診時)、呼吸音減弱、連続性ラ音が聴取された。
【検査所見】
胸部X線:肺野の透過性の亢進、横隔膜低位、滴状の心陰影が認められた。
胸部CT検査:肺内に広範な低吸収域が存在した。
呼吸機能検査:1秒率45%
血液検査:尿素窒素 20mg/dL、尿酸 9.0mg/dL、クレアチニン 0.9mg/dL
問194
この患者に用いるべき薬物として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- テオフィリン
- サルメテロールキシナホ酸塩
- ケトチフェンフマル酸塩
- チオトロピウム臭化物水和物
問195
この患者は薬物治療により症状が改善していたが、尿酸値が依然として高値であるため、医師により薬が処方された。1週間後、患者は頭痛、悪心、嘔吐を繰り返し、時々痙れんも見られたため、問194で使用した薬物との相互作用が疑われた。
次のうち、相互作用を起こしたと考えられる処方薬はどれか。1つ選べ。
- プロベネシド
- コルヒチン
- ブコローム
- ベンズブロマロン
- アロプリノール
正解.
問194:1, 2
問195:5
解 説
問194
1 秒率が低値(正常値 71%以上)であり、喫煙歴も長く、閉塞性肺疾患を示唆する結果です。
テオフィリンは、気管支喘息治療薬です。ホスホジエステラーゼ阻害により、cAMP濃度上昇を通じて、気管支拡張作用を示します。
サルメテロールキシナホ酸は、β2 刺激薬です。気管支に選択的に作用し、気管支を広げます。長時間作用が持続します。
ケトチフェンは、アレルギー性疾患に用いられる、抗ヒスタミン薬です。又、気管支喘息の予防にも用いられます。気管支を広げる作用はなく、又、アレルギー性疾患を示す所見も見られないため適切とは考えられません。よって、選択肢 3 は誤りです。
チオトロピウムは、抗コリン薬です。前立腺肥大症に対して禁忌なので選択肢 4 は誤りです。
以上より、正解は 1,2 です。
問195
プロベネシドは、尿酸排泄薬です。テオフィリンやサルメテロールとの相互作用は特に知られていません。よって、問194 で使用した薬物との相互作用はないと考えられるので、選択肢 1 は誤りです。
コルヒチンは、痛風発作を抑える薬です。尿酸を減らしたりする作用はありません。よって、尿酸値が高値であることに対する処方としては、ふさわしくないと考えられます。よって、選択肢 2 は誤りです。
ブコロームは、NSAIDsの一種です。腫れや痛みを和らげるお薬です。又、尿酸排泄作用もあります。ブコロームと相互作用を起こす薬としては、ワルファリンなどのクマリン系抗凝血薬があげられます。よって、問194で使用した薬物との相互作用はないと考えられるので、選択肢 3 は誤りです。
ベンズブロマロン(ユリノーム)は、尿酸排泄薬です。CYP 2C9 により代謝されるので、クマリン系抗凝血薬等との相互作用に注意する必要があります。 テオフィリンやサルメテロールとの相互作用は特に知られていません。よって、問194で使用した薬物との相互作用はないと考えられるので、選択肢 4 は誤りです。
テオフィリンとアロプリノールは、共にキサンチン誘導体であり、キサンチンオキシダーゼの阻害による代謝拮抗を起こします。すなわち、アロプリノールとの併用により、テオフィリンの血中濃度が上昇します。これにより、副作用として頭痛、悪心、嘔吐、けいれんといった症状が見られたと考えられます。
以上より、正解は 5 です。
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