問 題
単純拡散による薬物の生体膜透過に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
- イオン形薬物は、非イオン形薬物と比べて透過性が高い。
- 脂溶性薬物は、水溶性薬物と比べて透過性が高い。
- 高分子薬物は、低分子薬物と比べて透過性が高い。
- 透過速度はMichaelis-Menten式で表される。
- 構造類似薬物の共存により、透過速度が低下する。
正解.2
解 説
単純拡散においては、脂溶性が高い分子形薬物ほど、透過性が高くなります。つまり、非イオン薬物の方が、イオン形薬物よりも透過性が高いです。これは Fick の法則と呼ばれます。よって、イオン形薬物の方が非イオン形薬物とくらべて透過性が高いわけではないので、選択肢 1 は誤りです。
単純拡散においては、脂溶性が高いほど透過性が高くなります。よって、脂溶性薬物は、水溶性薬物と比べ、透過性が高くなります。
単純拡散において、分子量は、透過性と関連がありません。よって、高分子薬物が、低分子薬物とくらべて透過性が高いわけではないので、選択肢 3 は誤りです。
単純拡散の透過速度は、Fickの法則で表されます。Michaelis-Menten 式ではないので、選択肢 4 は誤りです。ちなみに、Michaelis-Menten 式は、酵素の反応速度に関する式です。
単純拡散において、構造類似薬物の共存は、透過性と関連がありません。よって、構造類似薬物の共存により、透過速度が低下するわけではないので選択肢 5 は誤りです。
ちなみに、構造類似薬物の共存により、透過速度が低下するのは促進拡散や能動輸送といった、トランスポーターが介在する物質輸送と考えられます。
以上より、正解は 2 です。
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