薬剤師国家試験 第97回 問129 過去問解説

 問 題     

感染性疾患と、主な感染源の組合せのうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  • <疾患>     <感染源>
  1. ジフテリア      気道由来の飛沫
  2. 成人T細胞白血病  母乳
  3. エキノコックス症   ノミ
  4. E型肝炎      血液

 

 

 

 

 

正解.1, 2

 解 説     

選択肢 1 はその通りの組合わせです。
ジフテリアは、ジフテリア菌(グラム陽性 桿菌)を病原体とするジフテリア毒素により起こる疾患です。上気道の粘膜感染症です。皮膚や目に感染することもあります。高い熱、はげしい咳、嘔吐などの症状が見られます。

選択肢 2 はその通りの組合せです。
成人 T 細胞白血病(ALT:Adult T-cell leukemia)は、白血病もしくは悪性リンパ腫の一種です。HTLV-1(Human T-lymphotropic Virus – 1)というレトロウイルス(RNAウイルスの中で、逆転写酵素を持つウイルス)の一種が原因ウイルスの一つです。ウイルスの保有者の、生涯発症危険率は10%未満とされています。主な感染経路は、授乳の他、性交、輸血があげられます。授乳による感染は、人工栄養(母乳以外のこと)に切り替えることでほぼ防ぐことができます。

エキノコックス症とは、寄生虫エキノコックスにより引き起こされる感染症のひとつです。人畜共通感染症の一つです。狐などが感染していることがあります。肝臓に病巣ができ、胆管を閉塞し、黄疸などが生じます。又、肺が侵されると、咳、胸痛などの症状が見られます。したがって、ノミが感染経路ではないので、選択肢 3 は誤りです。

E 型肝炎とは、ウイルス性肝炎の一種です。E 型肝炎ウイルスにより引き起こされます。主な感染経路は、経口感染です。すなわち、E 型肝炎ウイルスに汚染された食物、水等の摂取により感染します。ウイルスに感染しても、特に若年者は症状が明らかにならないことが多いとされています。妊婦が、妊娠晩期に感染すると、劇症化しやすいという報告がなされています。したがって、主な感染源は血液ではないので、選択肢 4 は誤りです。

以上より、正解は 1,2 です。

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