問 題
次の化学反応式に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
ただし、ΔH0はアンモニアの標準生成エンタルピーであり、(g)は気体状態を示す。
- 反応が平衡状態にあるとき、温度を低下させると反応は右方向に進行する。
- 反応が平衡状態にあるとき、圧力をかけると反応は左方向に進行する。
- 触媒の添加により、反応の生成エンタルピーを低下させることができる。
- 温度を変化させて、ファントホッフプロットを行うと、右上がりの直線性のプロットが得られる。
解 説
△H0 がマイナスであることから、反応エネルギーのイメージが下図です。
つまり、アンモニアが生成すると、エネルギー的により安定であるということです。これは、エネルギー差の分だけ、アンモニアが生成すると熱が出る反応であるということです。
さて、系が平衡状態にある時、微小な変化がおきると、系は平衡状態に戻ろうとします。(ルシャトリエ・ブラウンの原理と呼ばれます。)例えば、温度が少し低下すると、温度を上げようとします。つまり発熱反応がおきる方向に偏ります。つまり、この系では、アンモニア生成の方向に偏ります。よって、反応は右方向に進行するといえ、選択肢 1 は正解です。
次に、圧力を少しあげると、圧力を下げる方向に偏ります。この式では、左辺の項が2つ、右辺の項が1つであるため、圧力を下げる方向とは右方向です。なぜなら、2つの分子が1つになる=物質量が減るということだからです。物質量が減ると、圧力が減ります。これは、気体の状態方程式 pv = nRT において、v,Tが一定である状態を考えると n が減少すれば、p も減少することからわかります。よって、選択肢 2 は、左方向という部分が間違いです。
触媒の添加は、イメージとしては下図のように反応に必要なエネルギーを変化させる行為です。
反応の生成エンタルピーとは、反応の始点と終点のエネルギー差なので、触媒の添加では生成エンタルピーは変化しません。よって、選択肢 3 は誤りです。
ファントホッフプロットとは、横軸に温度の逆数、縦軸に平衡定数の対数を取ってプロットすると傾きが-⊿H/R となり、反応のエンタルピーを求めることができるプロットです。本問では、⊿H が負なので、傾きは正となります。つまり、右上がりの直線となります。よって、選択肢 4 は正解です。
以上より、正解は 1,4 です。
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