問 題
69 歳女性。乳がん切除後 6 日目に悪寒と 38.6 ℃ の発熱を認め、タゾバクタム・ピペラシリンの投与が開始された。
その 3 日後にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が創部から検出されたため、抗菌薬がバンコマイシンに変更された。
バンコマイシン投与開始後 7 日目の抗菌薬適正使用支援チーム(AST)回診前の検査所見は以下のとおりであった。
(検査所見)
体温:36.2 ℃
血液検査:白血球 8,600 /μL、赤血球 462 × 104 /μL、血小板 18 × 104 /μL、AST 24 IU/L、ALT 30 IU/L、LDH 212 IU/L、総ビリルビン 1.2 mg/dL、血清クレアチニン 0.6 mg/dL、eGFR 65.6 mL/min/1.73 m2、空腹時血糖 98 mg/dL、TG(トリグリセリド) 145 mg/dL、総コレステロール 180 mg/dL、尿酸 6.5 mg/dL、CRP 0.25 mg/dL
創部浸出液:なし
問228
医師より前にこの検査所見を見た薬剤師が提案する内容として最も適切なのはどれか。 1 つ選べ。
- バンコマイシンからリネゾリドへの変更
- バンコマイシンからテイコプラニンへの変更
- バンコマイシンからセファゾリンへの変更
- バンコマイシンの減量
- バンコマイシンの中止
問229
この患者が罹患した MRSA 感染症に関する記述として、正しいのはどれか。 2 つ選べ。
- 日和見感染症の 1 つである。
- 感染症法(注)において、特定の職業への就業によって集団発生を起こし得る感染症とされている。
- 患者は、第一種感染症指定医療機関に転院しなければならない。
- 定点把握の対象疾患として届出なければならない。
- 病原体は、院内患者から検出され、健常人から検出されることはない。
(注)感染症法:感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
問228:5
問229:1, 4
解 説
問228
バンコマイシン投与開始 7 日目時点、体温 36.2℃、白血球 8,600/μL、CRP 0.25 mg/dL と炎症反応が正常化し、創部浸出液も無いため感染症は治癒したと判断できます。抗菌薬の中止を提案するのが適切です。
以上より、問 228 の正解は 5 です。
問229
選択肢 1 は妥当です。
日和見感染症は、健康な個体に対しては通常感染症を起こさないような病原体が原因で発症する感染症のことです。MRSA 感染症は、代表的な日和見感染症の 1 つです。
選択肢 2 ですが
「特定の職業への就業によって集団発生を起こし得る」ために「就業制限」の対象となるのは三類感染症です。具体的にはコレラ、赤痢、チフス、O – 157 等による腸管出血性大腸菌感染症などが該当します。MRSA 感染症は五類感染症です。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
第一種感染症指定医療機関への転院が必要となるのは、一類・二類感染症などの重篤な感染症患者の治療を目的とする場合です。MRSA 感染症は該当しません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は妥当です。
MRSA 感染症は五類感染症に分類されます。対応は発生状況に関する情報の収集及び分析であり、指定された定点医療機関から届出を行います。
選択肢 5 ですが
原因菌である黄色ブドウ球菌は、健常人の皮膚や鼻腔内等にも常在菌として存在します。そのため、健常人から検出されることもあります。選択肢 5 は誤りです。
以上より、問 229 の正解は 1,4 です。

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