薬剤師国家試験 第110回 問127 過去問解説

 問 題     

食品 A ~ C におけるタンパク質の栄養価を比較するために、「日本食品標準成分表 2020 年版 (八訂) アミノ酸成分表」を用いて、アミノ酸組成 (mg/g タンパク質)を調べ、「FAO/WHO/UNU (2007 年) のアミノ酸評点パターン (1 ~ 2 歳)」と比較した。

下図に関する記述として正しいのはどれか。2 つ選べ。

ただし、食品 A ~ C は、米、はとむぎ又は鶏卵のいずれかである。

  1. 食品 A は鶏卵である。
  2. 食品 B には制限アミノ酸がない。
  3. 食品 C の第一制限アミノ酸は、トリプトファンである。
  4. アミノ酸スコアは、食品 A > 食品 B > 食品 Cである。
  5. 食品 C のアミノ酸スコアは 77 である。

 

 

 

 

 

正解.1, 4

 解 説     

【アミノ酸スコアの基礎知識】
アミノ酸スコアは 100 点満点です。スコアの出し方ですが、まずそれぞれのアミノ酸がこれだけあれば 100 点という、アミノ酸評点パターンという値が決まっています。そして、ある食品中のタンパク質に関して各アミノ酸について点数をつけていきます。

例としてリジンというアミノ酸の評点パターンが 500 だとして、お米の中にリジンが 330 しか入っていなかったとします。するとリジンのスコアが(330/500)×100 = 66 点です。以下、必須アミノ酸スコア全てに点数をつけ一番低かった点がその食品のアミノ酸スコアです。


選択肢 1 は妥当です。

米、はとむぎ、鶏卵であれば、鶏卵は他の 2 つの食品よりもバランスよくアミノ酸を有すると考えられます。該当するのは食品 A です。

選択肢 2 ですが
リジンのアミノ酸評定パターンが 52、食品 B のリジンは 40 なので、リジンが制限アミノ酸です。制限アミノ酸がないわけではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
食品 C に注目すると、トリプトファンのスコア (5.6/7.4 × 100) よりも、リジンのスコア (18/52 × 100) の方が低い です。第一制限アミノ酸とは、必要量に対して最も量が少ないアミノ酸であり、言い換えればスコアが最も低いアミノ酸です。従って、第一制限アミノ酸はトリプトファンではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。

選択肢 5 ですが
食品 C のアミノ酸スコアは 18/52 × 100 ≒ 35 です。77 ではありません。選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 1,4 です。

参考 食品中のタンパク質の栄養価
https://yaku-tik.com/yakugaku/es-1-1-3/

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