問 題
下表は、日本人を対象とした 5 つのコホート研究のデータを統合して解析し、男性の飲酒量と大腸がん、結腸がん及び直腸がんの関係について調べた結果である。
この表に関する記述として正しいのはどれか。2 つ選べ。
ただし、下表を基に算出した「飲酒しない群」の大腸がん発症率は 10 万観察人年当たり 142 人、「23.0 g/日以上のアルコール摂取群」の大腸がん発症率は 10 万観察人年当たり 196 人である。

- 週に 1 回未満の飲酒であっても、飲酒は大腸がんのリスクを有意に増加させる。
- 22.9 g/日 以下のアルコール摂取であっても、週に 1 回以上の飲酒は直腸がんのリスクを有意に増加させる。
- 23.0 g/日 以上のアルコール摂取は、結腸がんのリスクを有意に増加させる。
- 飲酒しない群と比較して、23.0 g/日 以上アルコールを摂取する日本人男性では、飲酒によって 10 万観察人年当たり 338 人が過剰に大腸がんを発症すると推定される。
- 飲酒しない群と比較して、23.0 g/日 以上アルコールを摂取する日本人男性の大腸がんのうち、28 % は飲酒によるものであると推定される。
解 説
アルコール摂取量 23.0g は、大体 瓶ビール 1 本ぐらいと考えればよいです。
選択肢 1 ですが
飲酒しない と 週に 1 回未満 の列に注目すると、大腸がんは 311/218867 に対して 87/81929 の発症であり、ハザード比率は 1.00 です。95% 信頼区間は 1 をまたいでいます。これらの結果から「有意な差は見られない」といえます。「リスクを有意に増加させる」わけではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
飲酒しない と 週に 1 回以上 0.1 – 22.9 の列に注目すると、直腸がんは 119/218867 に対して 118/207211 の発症であり、ハザード比率は 1.30 です。95% 信頼区間は 1 をまたいでいます。これらの結果から「有意な差は見られない」といえます。「リスクを有意に増加させる」わけではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当です。
ハザード比が 1.60 であり、95% 信頼区間は 1 をまたいでいません。リスク有意に増加といえます。
選択肢 4 ですが
問題文のただしがきにあるように、飲酒しないと 142、23.0g/日以上アルコール摂取すると 196 なので、196 - 142 = 54 人 過剰に大腸がんを発症すると考えられます。「196 + 142 から出てくる 338 人」ではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
(54/196) × 100 % で求めることができます。
以上より、正解は 3,5 です。

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