問 題
67 歳女性。身長 155 cm、体重 43 kg。2 年前より心窩部痛を自覚し、外来を受診。CT 検査などで膵臓がん、肝転移 (StageⅣ) と診断された。
一次治療として、フルオロウラシル+イリノテカン塩酸塩+オキサリプラチン+レボホリナート(FOLFIRINOX) 療法を導入した。
1 クール目 Day 8 に発熱があり再来院した。処方 1 を服用中であり、全身倦怠感が強く入院加療となった。担当医から追加処方 (処方 2) の連絡を受けて、カンファレンスで今後の方針について協議することになった。
問294
薬剤師が行う内容として、適切なのはどれか。2 つ選べ。
- 腋窩温や検査値から発熱性好中球減少症を疑った。
- フィルグラスチムの投与を提案した。
- 酸化マグネシウムによるレボフロキサシンの吸収増加について情報提供した。
- レボフロキサシンの用量を 250 mg に減量することを提案した。
- 肝障害があるので、アセトアミノフェンの中止を提案した。
問295
この患者の病態に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。
- 末梢における好中球の破壊が亢進している。
- CRP が上昇している可能性が高い。
- 口内炎や咽頭痛を発症しやすい。
- 高度な貧血が認められる。
- 薬剤に対するアレルギーにより発症したと考えられる。
正解.
問294:1, 2
問295:2, 3
解 説
問294
選択肢 1 は妥当です。
化学療法中の 好中球減少 発熱ときたら発熱性好中球減少症です (104-326 https://yaku-tik.com/yakugaku/104-326/)。
選択肢 2 は妥当です。
フィルグラスチムは、G-CSF(granulocyte colony-stimulating factor)製剤です。この製剤は、主に好中球、つまり白血球の中の顆粒球の一種を増加させます。検査値で減少が見られる項目の対処として妥当です。
選択肢 3 ですが
レボフロキサシンはニューキノロン系抗生物質です。ニューキノロン系抗生物質は、金属イオンと難溶性の複合体(キレート)を形成するため吸収「低下」します。「吸収増加」ではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
レボフロキサシンは、耐性菌の出現を抑制するため 1 回 500 mg で投与します。また、腎機能低下時には、初日に 500mg を 1 回投与した後、投与間隔を空けて 250 mg を投与することもありますが、本症例では腎機能はそれほど低下していません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
AST/ALT から、肝障害があるとはいえません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、問 294 の正解は 1,2 です。
参考 レボフロキサシンの投与設計
https://yaku-tik.com/yakugaku/108-272/
問295
選択肢 1,4,5 が誤りと判断しやすく
消去法で解くのがよいと思われます。
選択肢 1 ですが
化学療法により骨髄抑制で好中球減少と考えられます。「末梢における好中球の壊死」ではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2,3 は妥当です。
選択肢 4 ですが
赤血球数、ヘモグロビン値は基準値内です。「高度な貧血」ではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
化学療法による発症であり「薬剤に対するアレルギー」ではないと考えられます。選択肢 5 は誤りです。
以上より、問 295 の正解は 2,3 です。
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