薬剤師国家試験 第109回 問256-257 過去問解説

 問 題     

52 歳女性。40 歳時に気管支ぜん息と診断された。現在、処方 1 ~ 5 の薬剤を服用しており、アドヒアランスは良好であるが、ぜん息発作で頻回に入院していた。今回、ぜん息発作のコントロール目的で入院となり、処方 6 が追加された。

問256

薬剤師が処方 6 の薬剤の投与量を監査するために確認すべき患者情報はどれか。2 つ選べ。

  1. 体表面積
  2. 体重
  3. 投与前血清中総 IgE 濃度
  4. 投与前血清中 IL – 5 濃度
  5. 投与前血中好酸球数

問257

処方 1 ~ 6 のいずれかの薬物の作用機序として、正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. トロンボキサン合成酵素を阻害することで、気管支平滑筋の収縮を抑制する。
  2. アデノシン A1 受容体を遮断して、気管支平滑筋の収縮を抑制する。
  3. 2 型ヘルパー T 細胞 (Th2 細胞) における IL – 5 の産生を抑制することで、肺への好酸球浸潤を抑制する。
  4. IgE に結合して、IgE が肥満細胞膜上の IgE 受容体に結合するのを阻害することで、炎症性メディエーターの産生を抑制する。
  5. IL – 5 に結合して、IL – 5 が好酸球の細胞膜上の IL – 5 受容体に結合するのを阻害することで、血中の好酸球数を減少させる。

 

 

 

 

 

正解.
問256:2, 3
問257:2, 4

 解 説     

問256

処方 6 のオマリズマブ (ゾレア) は、難治性喘息治療薬です。ヒト化 ヒト IgE モノクローナル抗体です。IgE と受容体の結合を競合的に阻害し炎症細胞の活性化を抑制します。1 回あたりの投与量並びに投与間隔は、「初回投与前血清中総 IgE 濃度」及び「体重」に基づき、投与量換算表により設定します。


以上より、問 256 の正解は 2,3 です。

問257

選択肢 1 ですが
トロンボキサン合成酵素阻害薬 (このタイプの代表的な薬はオザグレル) は処方 1 ~ 6 には見当たりません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当です。
気管支拡張薬として知られるテオフィリンが、アデノシン受容体に対して拮抗薬です。

選択肢 3,5 ですが
IL – 5 をターゲットとする喘息薬としては、メポリズマブ (ヌーカラ) があります。メポリズマブはヒトインターロイキン-5(IL-5)に対して特異的に結合し、好酸球の細胞表面に発現している IL – 5 受容体 α 鎖への IL – 5 結合を阻害することにより、IL – 5 の好酸球増殖作用を抑制します。処方 1 ~ 6 には見当たりません。選択肢 3,5 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
オマリズマブについての記述です。


以上より、問 257 の正解は 2,4 です。

参考 アレルギー治療薬
https://yaku-tik.com/yakugaku/yr-3-6-3/

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