薬剤師国家試験 第109回 問187 過去問解説

 問 題     

再生不良性貧血に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. 血清鉄が増加する。
  2. 不飽和鉄結合能が増大する。
  3. 小球性低色素性貧血に分類される。
  4. エリスロポエチン産生が亢進する。
  5. 血小板数は変化しない。

 

 

 

 

 

正解.1, 4

 解 説     

再生不良性貧血とは、造血幹細胞の減少により、赤血球、白血球、血小板といった血球が減少する疾患です。先天性と後天性に分類されます。治療には、タンパク同化ステロイドや、G-CSF、シクロスポリンなどが用いられます。


選択肢 1,2 について

選択肢 1 は妥当です。選択肢 2 は誤りです。血球の大元である造血幹細胞が減少するため、赤血球の材料である鉄の利用が行われません。このため血清鉄は増加します。

血清鉄が増加すれば、鉄と結合していないトランスフェリンは過剰な鉄と結合します。つまり、鉄と未結合のトランスフェリンが減ります。不飽和鉄結合能とは「鉄と結合していないトランスフェリン」と鉄の結合能です。従って、不飽和鉄結合能は減少します。


選択肢 3 ですが

低色素性貧血は、ヘモグロビンが十分につくられていない状態に起因する貧血です。低色素性貧血の代表例は、鉄欠乏性貧血です。再生不良性貧血は、低色素性貧血ではありません。選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 は妥当です。

赤血球を作ろうとするので、エリスロポエチン産生は亢進します。しかし赤血球の大元の造血幹細胞がないので、赤血球は増加しません。シフトの人員 (赤血球のたとえ) が足りず応援を頼もうと電話やメール (エリスロポエチン のたとえ) を送りまくっているイメージです。


選択肢 5 ですが

赤血球、白血球、血小板といった血球が減少します。「血小板数は変化しない」わけではありません。選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 1,4 です。

参考 貧血の病態生理、治療薬、注意点
https://yaku-tik.com/yakugaku/bt-2-3-2/

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