薬剤師国家試験 第109回 問163 過去問解説

 問 題     

肝疾患、膵疾患及び胆道疾患の治療に用いられる薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. フロプロピオンは、カテコール – O – メチルトランスフェラーゼ (COMT) を阻害してノルアドレナリンの代謝を抑制することで、Oddi 括約筋を弛緩させる。
  2. ウルソデオキシコール酸は、胆汁酸の増加を伴わずに胆石表面のコレステロールをミセル化することで、コレステロール胆石を溶解する。
  3. カモスタットは、膵外分泌を促進して膵機能を活性化することで、慢性膵炎を改善する。
  4. テノホビルは、NS5A 複製複合体を阻害することで、B 型肝炎ウイルス (HBV) の複製を抑制する。
  5. ソホスブビルは、NS5B RNA 依存性 RNA ポリメラーゼを阻害することで、C 型肝炎ウイルス(HCV) の複製を抑制する。

 

 

 

 

 

正解.1, 5

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
フロプロピオンについての記述です。

選択肢 2 ですが
ウルソデオキシコール酸は催胆薬の一種です。つまり、肝臓からの胆汁分泌を促進します。「胆汁酸の増加を伴わずに」ではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
カモスタットはタンパク質分解酵素阻害薬です。すなわち、消化酵素阻害薬です。「膵機能を活性化」するわけではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
テノホビルは、核酸アナログです。核酸系逆転写酵素阻害薬 (NRTI) として作用します。NS5A 複製複合体阻害薬ではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
ソホスブビルについての記述です。


以上より、正解は 1,5 です。

参考
肝臓疾患治療薬
https://yaku-tik.com/yakugaku/yr-3-2-4/

膵臓疾患治療薬
https://yaku-tik.com/yakugaku/yr-3-2-5/

コメント