薬剤師国家試験 第109回 問146 過去問解説

 問 題     

毒物及び劇物取締法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. 興奮、幻覚、麻酔作用を有する毒物又は劇物を交付する場合、その交付を受ける者の氏名及び住所を確認しなければならない。
  2. 引火性、発火性又は爆発性を有し、業務その他正当な目的以外での所持が認められないものとして、トルエンが指定されている。
  3. 特定毒物使用者は、特定毒物を品目ごとに政令で定める用途以外の用途に供してはならない。
  4. 毒物及び劇物の容器・被包には「医薬用外」の文字とともに、毒物については黒地に白色で「毒物」の文字、劇物については白地に赤色で「劇物」の文字を表示しなければならない。
  5. 毒物劇物営業者は、毒物又は劇物を直接に取り扱う製造所、営業所又は店舗ごとに原則として、専任の毒物劇物取扱責任者を置かなければならない。

 

 

 

 

 

正解.3, 5

 解 説     

選択肢 1 ですが
「興奮、幻覚、麻酔作用を有する毒劇物」の代表例は、トルエンやシンナーといった有機溶剤です。これらは毒劇物取締法に基づき「みだりに摂取、吸入してはならない、又、これらの目的で所持してはならない」と定められています。

毒劇物取締法第 15 条が交付制限について規定しています。交付を受ける者の氏名及び住所確認が必要となるのは「引火性、発火性又は爆発性のある毒物又は劇物であつて政令で定めるもの」です。「興奮、幻覚、麻酔作用を有する毒劇物」について、交付時の氏名や住所確認は必要ありません。選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 ですが

「引火性、発火性又は爆発性を有し…」として指定される物質の代表例は、ナトリウム、ピクリン酸などです。トルエンは含まれません。選択肢 2 は誤りです。

ちなみにですが、トルエンは引火性高いんじゃないか…? と考えた人もいると思います。実際、トルエンの引火性は高く、消防法により危険物として消防法危険物第四類として指定されています。


選択肢 3 は妥当です。

代表的な特定毒物は、四アルキル鉛です。用途はアンチノック剤です。ガソリンに添加し、オクタン価向上に用います。

選択肢 4 ですが
毒物についての色が誤りです。以下が文字の例となります。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
毒物劇物営業者の 取扱責任者設置義務についての記述です。


以上より、正解は 3,5 です。

参考 毒物及び劇物取締法
https://yaku-tik.com/yakugaku/hk-1-3-4/

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