薬剤師国家試験 第109回 問131 過去問解説

 問 題     

食中毒の原因となる微生物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. 黄色ブドウ球菌が産生する毒素は、100 ℃ で 30 分間加熱しても毒性を失わない。
  2. ボツリヌス菌は、低酸素状態ではボツリヌス毒素を産生しない。
  3. 腸管出血性大腸菌は、酸に抵抗性を示し、腸管でベロ毒素を産生する。
  4. セレウス菌の嘔吐型食中毒の原因となる毒素は、100 ℃ で 30 分間の加熱で毒性を失う。
  5. エルシニア・エンテロコリチカは、4 ℃ の低温条件下では発育できない。

 

 

 

 

 

正解.1, 3

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
黄色ブドウ球菌は、産生する毒素が「耐熱性エンテロトキシン」です。

選択肢 2 ですが
ボツリヌス菌は嫌気性菌です。酸素がないところでないと増殖できません。ボツリヌス菌が産生する毒素がボツリヌストキシンです。神経毒です。軽く熱すると不活化する毒です。「低酸素状態ではボツリヌス毒素を産生しない」わけではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
腸管出血性大腸菌についての記述です。

選択肢 4 ですが
セレウス菌は、珍しいグラム陽性桿菌です。耐熱性の芽胞と呼ばれる形態をとります。毒素型と感染型の両方を持つという特徴があります。毒素では嘔吐が、感染では下痢がひきおこされます。毒素も耐熱性です。「… 加熱で毒性を失う」わけではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
エルシニア・エンテロコリチカはグラム陰性桿菌です。低温細菌で、冷蔵庫内でも増殖することができるという特徴があります。「… 低温条件下では発育できない」わけではありません。選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 1,3 です。

参考 細菌性・ウイルス性食中毒
https://yaku-tik.com/yakugaku/es-1-3-2/

コメント