薬剤師国家試験 第108回 問280-281 過去問解説

 問 題     

26 歳女性。身長 155 cm、体重 42 kg。アレルギー性鼻炎に対して処方 1 の薬剤を服用している。今回、下血があり外来受診したところ、潰瘍性大腸炎 (直腸炎型) の診断を受けた。なお、重症度分類では軽症であった。

医師は、患者からこれまで薬を飲み忘れることが多かったとの訴えがあったため、メサラジンの処方にあたり、本患者に適切な製剤について、医薬品情報管理室に問い合わせた。薬剤師は、アドヒアランスを考慮して処方 2 を提案した。

問280

処方 2 を提案するにあたり、医師に説明する内容のうち、適切なのはどれか。2 つ選べ。

  1. メサラジン注腸剤と併用しない。
  2. 処方 2 の薬物の TDM を行う。
  3. 再生不良性貧血を起こすことがある。
  4. 粉砕して投与可能である。
  5. 定期的に大腸がん検査を行う。

問281

処方 2 の製剤投与後の薬物動態を把握するため、添付文書を確認したところ、健康成人における空腹時経口単回投与時の 24 時間までの平均血漿中未変化体薬物濃度の時間推移は下図のようであった。

処方 2 の製剤の添加剤のうち、本剤投与後、図中 A に示された血漿中薬物濃度の推移が観察されることと最も関連の深いのはどれか。1 つ選べ。

  1. カルメロースナトリウム
  2. カルナウバロウ
  3. ステアリン酸マグネシウム
  4. メタクリル酸コポリマーS
  5. マクロゴール 6000

 

 

 

 

 

正解.
問280:3, 5
問281:4

 解 説     

問280

メサラジンを有効成分とする製剤には、ペンタサ、アサコール、サラゾピリンなどがあるのですが、これらは1日2~3回服用です。リアルダは、1日1回服用でよいため、アドヒアランス向上が期待できます。

選択肢 1 ですが
メサラジンとしての総投与量が増加することを考慮する必要はありますが、併用しないわけではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
特に TDM は必要ありません。

選択肢 3 は妥当です。

選択肢 4 ですが
添加剤にメタクリル酸コポリマーがあり、腸溶錠であることが読み取れます。そのため、粉砕してはいけません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。

以上より、問 280 の正解は 3,5 です。

問281

図中 A の血中濃度推移は、胃で溶けていないことを示しています。前問の選択肢 4 でも触れたのですが、腸溶錠であることと関連深い添加剤は、メタクリル酸コポリマーです。(参考 107回 問50 水性懸濁液中の粒子の分散安定性を高めるために添加される半合成高分子)。

以上より、問 281 の正解は 4 です。

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