問 題
85 歳男性。中等度の認知症及び高血圧症の治療中。部屋の中ではつたい歩きができるが、活動量が低下し、家に引きこもりがちである。
今回、腰痛を訴え整形外科を受診したところ、骨粗しょう症と診断された。整形外科受診時の検査値、現在服用中の薬剤は以下のとおりである。なお、肝機能に異常はない。
(身体所見及び検査値)
骨密度 65%、血圧 128/80 mmHg、身長 168 cm、体重 62 kg、血清クレアチニン 0.9 mg/dL、Ca 9.0 mg/dL(基準値8.0~10.4mg/dL)、血清 25 – ヒドロキシビタミン D 8 ng/mL (20 ng/mL 以下は欠乏とみなす)
問218
この患者の骨粗しょう症治療に用いる薬剤として、適切なのはどれか。2 つ選べ。
- アレンドロン酸錠
- ブシラミン錠
- ラロキシフェン塩酸塩錠
- L-アスパラギン酸Ca錠
- エルデカルシトールカプセル
問219
本患者が血液検査で測定した 25 – ヒドロキシビタミン D に含まれる 25 (OH) ビタミン D3 は、下図に示すように、プロビタミン D3 から反応 A、B を経て作られ、反応 C、D で代謝される。
以下の記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。
- プロビタミン D3 は、生体内で合成されない。
- 紫外線を浴びた皮膚で進行する反応は、B である。
- 副甲状腺ホルモン (パラトルモン) によって促進される反応は、D である。
- 活性型ビタミン D3 は、25 (OH) ビタミン D3 である。
- 活性型ビタミン D3 は、最終的に腎臓で生成される。
正解.
問218:1, 5
問219:3, 5
解 説
問218
選択肢 1 は妥当です。
選択肢 2 ですが
ブシラミンは、SH 基(チオール)製剤です。関節リウマチ治療薬です。骨粗しょう症に用いる薬剤として、適切ではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
ラロキシフェンは、選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)です。閉経後の女性に対して用いられます。(参考 100-263 66歳男性、骨粗しょう症)。本問は男性なので、適切ではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
検査値から、血清 Ca は十分です。カルシウムの補充は不要と考えられます。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
以上より、問 218 の正解は 1,5 です。
問219
選択肢 1,2 ですが
ビタミン D は、食物からも取れるのですが、紫外線を浴びた皮膚などで合成されることが知られています。図における反応 A が該当します。前駆体であるプロビタミン D3 は、コレステロール生合成の最終中間体です。生体内で合成されます。選択肢 1,2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当です。
副甲状腺ホルモン(パラトルモン)に関する記述です。
選択肢 4,5 ですが
ビタミン D は「肝臓で25位」が水酸化を受けた後、「腎臓で1位」が水酸化を受ける という二段階の水酸化により活性化されることが知られています。(102-227 65歳女性。慢性腎不全にて通院治療中、腰痛を契機に、骨粗しょう症と診断された事例)。従って、活性型ビタミン D3 は、1,25(OH)2 ビタミン D3 です。選択肢 4 は誤りで、選択肢 5 は正しい記述です。
以上より、問 219 の正解は 3,5 です。
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