薬剤師国家試験 第108回 問156 過去問解説

 問 題     

抗リウマチ薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. インフリキシマブは、抗ヒト TNF – α 受容体モノクローナル抗体で、TNF – α の作用を抑制する。
  2. アバタセプトは、抗原提示細胞表面の CD80/CD86 に結合して、CD28 を介した共刺激シグナルを抑制する。
  3. トファシチニブは、ヤヌスキナーゼ (JAK) を阻害して、IL – 2 受容体の活性化を介した作用を抑制する。
  4. トシリズマブは、抗ヒト IL – 1β モノクローナル抗体で、IL – 1β の作用を抑制する。
  5. エタネルセプトは、IL – 6 受容体の細胞外ドメインとヒト IgG の Fc 鎖との融合タンパク質で、IL – 6 の作用を抑制する。

 

 

 

 

 

正解.2, 3

 解 説     

選択肢 1 ですが
インフリキシマブ(レミケード)は、遺伝子組み換え 抗ヒト TNF-α モノクローナル抗体です。抗ヒト TNF – α「受容体」モノクローナル抗体では、ありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当です。
アバタセプトについての記述です。アバタセプト(オレンシア)は、抗原掲示細胞表面の CD80/CD86 を標的とした分子標的薬で抗リウマチ薬の一つです。CD28 を介した共刺激シグナルを阻害することで T 細胞の活性化を抑制します。(104-37 TNF – α と特異的に結合する薬)。

選択肢 3 は妥当です。
トファシチニブについての記述です。トファシチニブ(ゼルヤンツ)は、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬です。(104-37 TNF – α と特異的に結合する薬)。

選択肢 4 ですが
トシリズマブ(アクテムラ)は、遺伝子組み換えヒト化ヒト IL-6 受容体モノクローナル抗体です。IL-6 受容体に結合することにより IL – 6 の活性発現を抑制し、炎症を抑制します。「IL – 1β モノクローナル抗体」ではありません。選択肢 4 は誤りです。(104-37 TNF – α と特異的に結合する薬)。

選択肢 5 ですが
エタネルセプトは、TNF – α (腫瘍壊死因子 – α) の作用を阻害する ヒト型可溶性 TNF 受容体 – Fc 融合タンパク質の生物学的製剤です。(103-40 TNF – α 阻害薬)。「IL-6 受容体の細胞外ドメインと ヒト IgG の Fc 鎖との融合タンパク質」ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2,3 です。

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