薬剤師国家試験 第108回 問135 過去問解説

 問 題     

化審法*及び化管法**に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。

  • *化審法:化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律
  • **化管法:特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律
  1. 化審法の対象となる物質は、新規化学物質のみであり、化審法の公布前に製造・輸入されていた既存化学物質は、対象とはならない。
  2. 化審法における監視化学物質は、難分解性、低蓄積性であり、ヒト及び生活環境動植物に対して長期毒性を有する物質である。
  3. 化審法において、分解性の判定には活性汚泥が用いられる。
  4. 化管法において、安全データシート (SDS) 制度は、対象となる事業者が対象化学物質の排出・移動量を国に届け出る制度である。
  5. 化管法において、PRTR制度の対象物質は、SDS 制度の対象物質に指定されている。

 

 

 

 

 

正解.3, 5

 解 説     

試験本番では、化審法 → カネミきっかけ、第一種特定が 30 種ぐらいあった!化管法 → PRTR,SDS 制度 ぐらいのキーワードが連想されれば十分かな、という印象です。

選択肢 1 ですが
既存化学物質も含まれます。現行化審法においては、第二条第七項の規定に基づき一般化学物質とされています。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
化審法における「監視化学物質」は、難分解、かつ、高蓄積だが、継続的に摂取される場合に、人の健康を損なうおそれ 又は 高次捕食動物の生息又は生育に支障を及ぼすおそれがあるかについて明らかでない化学物質として、厚生労働大臣、経済産業大臣及び環境大臣が指定するものです。「低蓄積性」ではありません。また、毒性について明らかでない物質です。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
活性汚泥は、微生物を含む泥です。化学物質の分解性を判定する試験に用いられます。

選択肢 4 ですが
安全データシート(SDS)制度は、事業者による化学物質の適切な管理の改善促進のため、化管法で指定された「化学品」を、他の事業者に譲渡又は提供する際に、当該化学品を譲渡又は提供するときまでに、化管法 SDS (安全データシート)により、当該化学品の特性及び取扱いに関する情報提供、ラベルによる表示の努力義務制度です。「事業者が国に届け出る制度」ではありません。選択肢 4 は誤りです。

取引先の事業者から化管法 SDS の提供を受けることにより、事業者は自らが使用する化学品について必要な情報を入手し、化学品の適切な管理に役立てることが狙いです。かつて MSDS と呼ばれてました。国際調和で SDS となっています。

選択肢 5 は妥当です。
化管法 SDS 制度の対象となる化学物質は「第一種指定化学物質」及び「第二種指定化学物質」として定義されています。そして、第一種指定化学物質とは、PRTR 制度 及び 化管法SDS制度の対象物質です。(R5.4.1時点で 515 種類)。PRTR 制度対象物質であれば、第一種指定化学物質なので、SDS 制度対象物質です。妥当な記述となります。

以上より、正解は 3,5 です。

類題 105-140 化審法 及び 化管法

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