薬剤師国家試験 第108回 問111 過去問解説

 問 題     

生体内の物質移動に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 一酸化窒素は、促進拡散により血管内皮細胞から移動する。
  2. 水素イオンは、受動輸送により胃壁細胞から分泌される。
  3. 原尿中のグルコースは、Naとの共輸送により腎臓の近位尿細管上皮細胞に取り込まれる。
  4. 血中のグルコースの大部分は、エンドサイトーシスにより脂肪細胞に取り込まれる。
  5. ノルアドレナリンは、エキソサイトーシスにより交感神経終末から分泌される。

 

 

 

 

 

正解.3, 5

 解 説     

選択肢 1 ですが
一酸化窒素(NO)は、血管内皮細胞において産生され、放出されます。「促進拡散により血管内皮細胞から移動する」わけではないと考えられます。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
胃酸がプロトンポンプにより、能動的に輸送されることから「受動輸送」ではないと判断できるのではないでしょうか。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
SGLT(sodium glucose cotransporter) が、Na+/グルコース共輸送体です。代表的二次性能動輸送担体です。SGLT2 は腎臓の近位尿細管に局在しています。グルコースの再吸収の大部分を担っています阻害薬が糖尿病治療薬として用いられます

選択肢 4 ですが
エンドサイトーシスとは、膜動輸送の中でも細胞内に物質を取り入れる輸送のことです。血中グルコースは、主に GLUT というトランスポーターにより取り込まれ、エンドサイトーシスにより取り込まれるわけではないと考えられます。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
神経終末におけるノルアドレナリン分泌に関する記述です。

以上より、正解は 3,5 です。

参考 99-166 薬物の生体膜輸送について 

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