問 題
68歳女性。54歳の頃、精神科でうつ病と診断され2年間ほどセルトラリン塩酸塩錠を服用し、回復した。
10年前(58歳時)に内科でパーキンソン病と診断され、レボドパ250mg・カルビドパ配合錠(1日5錠、朝2錠、昼1錠、夕2錠)で治療を開始した。
3年前(65歳時)から薬の作用時間が短縮し、服用後時間が経つと安静時振戦や運動緩慢など症状の悪化が見られた。舌突出・異常運動、じっとしていられないなどの症状は出現していなかった。
服用回数を5回に分割したところ症状は落ち着いた。
問286
服用回数を分割する前に、患者に出現していた症状はどれか。1つ選べ。
- アカシジア
- 急性ジストニア
- 遅発性ジスキネジア
- on-off現象
- wearing-off現象
問287
この患者は、その後、薬を頻回に内服することを考えると気分がすぐれなくなり、うつ病が再発したため、2年前(66歳時)から精神科でセルトラリン塩酸塩錠の服用を再開した。
2ヶ月ほど前から、3年前(65歳時)のような症状が起こるようになったと、内科の主治医に相談があった。主治医は、新しく薬物を追加することを検討している。
現在の処方は以下のとおりである。
この患者に追加する薬物として、適切でないのはどれか。1つ選べ。
- セレギリン
- ロピニロール
- イストラデフィリン
- エンタカポン
- ゾニサミド
正解．
問286：5
問287：1
解 説
問286
薬効の持続時間が短くなる現象である wearing-off 現象です。
以上より、問 286 の正解は 5 です。
ちなみに
アカシジアは、座ったままでじっとしていられないという状態です。
ジストニアは、不随意の筋肉「硬直」です。
ジスキネジアは、不随意運動の総称です。
on – off 現象は、薬を飲む時間に関係なく、突然動きがよくなったり、悪くなったりする現象です。
参考 病態・薬物治療学まとめ パーキンソン病の病態生理、治療薬、注意点
問287
選択肢 1 ですが
セレギリンは MAO-B 阻害薬です。SSRI と併用すると、薬剤の作用を増強する可能性があり、併用禁忌です。適切ではありません。
以上より、問 287 の正解は 1 です。
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