問 題
23 歳女性。半年前に幻覚と妄想が出現し統合失調症と診断され、リスペリドン 6 mgによる治療を受けていた。
精神症状は改善したが、手のふるえや筋肉が突っ張るような錐体外路症状が出現した。また、これまで規則正しかった月経が止まったとの訴えがあり、検査により高プロラクチン血症と診断された。
患者から別の薬剤への変更を希望され、以下の処方へ変更することになった。
問246
この患者でリスペリドン服用中に認められた副作用発生の主な機序として、正しいのはどれか。2 つ選べ。
- 線条体におけるドパミン D2 受容体遮断
- 線条体におけるセロトニン 5 – HT2A 受容体遮断
- 中脳辺縁系におけるドパミン D2 受容体遮断
- 中脳辺縁系におけるセロトニン 5 – HT2A 受容体遮断
- 脳下垂体前葉におけるドパミン D2 受容体遮断
問247
変更後の処方薬に関する記述として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- 第 1 世代 (定型) の統合失調症治療薬と比べ錐体外路症状が発現しにくい。
- 変更後 2 ヶ月間は、好中球数のモニタリングが毎週必要である。
- 分布容積が大きいため、過量投与に対する処置として血液透析が有効である。
- 投与中は血糖値の定期的なモニタリングが必要である。
- 薬物治療は今後 1 ヶ月で終了することが見込まれる。
正解.
問246:1, 5
問247:1, 4
解 説
問246
リスペリドンは、SDA (serotonin-dopamine antagonist)です。SDA は、D2 及び5-HT2A 受容体遮断作用を持つ薬です。(105-252 選択肢 4)。
錐体外路症状は、黒質線条体における ドパミン受容体遮断により引き起こされます。また、ドパミン遮断薬による代表的な副作用として、高プロラクチン血症が知られています。プロラクチンは脳下垂体「前葉」から分泌されます。(105-111)。
以上より、問 246 の正解は 1,5 です。
問247
選択肢 1 は妥当です。
アリピプラゾールは、ドパミン D2 受容体及びセロトニン 5 -HT1A 受容体に対して 部分刺激薬 として作用する、統合失調症治療薬です。
選択肢 2,4 ですが
アリピプラゾール投与で注意すべき検査値は 血糖値です。選択肢 2 は誤り、選択肢 4 は妥当です。
選択肢 3 ですが
分布容積が大きい ということは、薬物が組織により移行する薬物 ということです。そうであれば、血中の薬物を除去する血液透析は、それほど有効ではないと考えられます。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 5 ですが
見込まれるとする根拠がありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、問 247 の正解は 1,4 です。
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