薬剤師国家試験 第107回 問244-245 過去問解説

 問 題     

校舎が老朽化したため、一部の教室の改築が行われた。改築した教室を利用した生徒から、目、鼻、のどの刺激、めまいの訴えが続いたため、養護教諭から学校薬剤師に相談があった。

学校薬剤師がこの教室内の空気中の化学物質を検査したところ、「学校環境衛生基準」で定められている2つの物質が高濃度で検出された。

問244

生徒の症状の原因と考えられる物質の組合せとして、正しいのはどれか。1つ選べ。

  •   原因物質1          原因物質2
  1. アスベスト           フタル酸ジ-2-エチルヘキシル
  2. フタル酸ジ-2-エチルヘキシル  ホルムアルデヒド
  3. ホルムアルデヒド        キシレン
  4. キシレン            一酸化炭素
  5. 一酸化炭素           アスベスト

問245

前問で選択した原因物質1及び原因物質2を測定するための試験法の組合せとして、正しいのはどれか。1つ選べ。

 

 

 

 

 

正解.
問244:3
問245:5

 解 説     

問244

改築したての教室である点、症状から、シックハウス症候群と考えられます。

選択肢 1,2 ですが
フタル酸ビス(2 – エチルヘキシル)は、DEHP と略される可塑剤の一種です。(100-197 選択肢 4)。代表的なシックハウス症候群の原因物質の1つである「フタル酸ジ- n -ブチル」との混同を狙ったものと思われます。選択肢 1,2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
ホルムアルデヒド、キシレン 共に 代表的なシックハウス症候群の原因物質です。

選択肢 4,5 ですが
一酸化炭素は、シックハウス症候群の原因物質ではありません。選択肢 4,5 は誤りです。

以上より、問 244 の正解は 3 です。

問245

ホルムアルデヒドを分離・分析するために、DNPH(ジニトロフェニルヒドラジン)で誘導体化後、HPLCーUV 法で測定する分離分析法が知られています。正解は 4 or 5 です。(分析化学まとめ クロマトグラフィーを用いた、代表的な化学物質の分離分析)。

選択肢 4 ですが
ザルツマン法は NO2 の測定法です。ホルムアルデヒドやキシレンの測定法ではありません。選択肢 4 は誤りです。

以上より、問 245 の正解は 5 です。

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