問 題
75歳女性。骨粗しょう症の治療のため、近隣の整形外科クリニックに通院しており、以下の処方箋を持って薬局を訪れた。
この患者は、1ヶ月前からこの薬剤を継続服用している。薬剤師は患者の医薬品に関する理解度を高めるために、繰り返し、服用に関する注意点を説明することにした。
問212
薬剤師が伝えるべき内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- 服用後は、横になって安静にすること。
- 牛乳・乳製品と同時に服用しないこと。
- 服用後すぐに吐き気を催した場合には、制酸剤を服用すること。
- 定期的に歯科検査を受けること。
- 未吸収の成分により便が黒色になるが、心配ないこと。
問213
処方薬の化学的性質として、誤っているのはどれか。1つ選べ。
- 粘膜刺激性がある。
- カルシウムイオンなどの金属イオンに対して高い親和性を示す。
- 小腸では高極性のイオン型をとる。
- ヒドロキシアパタイトに吸着する。
- 塩基性溶液中では加水分解される。
正解.
問212:2, 4
問213:5
解 説
問212
リセドロン酸 Na は 17.5mg ではないのか、と感じた人もいるかもしれません。リセドロン酸 Na は 2.5mg、17.5mg、75mg の剤形があり、1日1回、週1回、月1回と、患者さんに合わせた用法・用量が選択できます。他の薬もあって、イレギュラーな週1回を忘れがちな患者さんなどには、むしろ毎日の方が飲みやすいこともありますよね。
使用上の注意として
食道などに付着したままだと局所刺激症状をおこすおそれがある点があります。そのためコップ1杯程度の、多めの水での服用を指導します。又、服用後最低30分は、横にならないように、さらに食事等を行わないように指導します。(これらは、食道などへの薬の残留を防ぐためです。又、胃に何か入っていると、吸収が悪くなるためです。
リセドロン酸と牛乳などの高カルシウム含有飲食物は、同時服用によりキレートを形成し吸収が妨げられることがあります。
また、長期使用に伴う顎骨壊死のリスク対応として、定期的歯科受診と、使用薬剤についての情報共有が推奨されています。
これらをふまえ、選択肢を検討すると
「牛乳・乳製品と同時に服用しない」
「定期的に歯科検査を受ける」が適切です。
以上より、問 212 の正解は 2,4 です。
類題 100-266267、101-260261
問213
選択肢 1,2 は
食道などに付着したままだと局所刺激性がある点、及び、牛乳との同時服用を避ける 化学的根拠といえます。妥当です。
選択肢 4 は
リセドロン酸の作用機序から、明らかに妥当です。リセドロン酸は、ビスホスホネート製剤です。骨のハイドロキシアパタイトに強い親和性を持ち、破骨細胞の活性を抑制することにより骨吸収を減少させる薬です。(101-260261)。妥当です。
選択肢 3,5 で悩む問題だったのではないかと思われます。
選択肢 3 ですが
リセドロン酸 Na という名前から「○ーO– Na+」という構造と推測されます。(酢酸ナトリウム などから類推できるのではないでしょうか)。
すると、酸性条件下では、H を受け取り「○ーOH」となり、分子型となり、NaOH 水溶液中のような塩基性条件下において、○ーO– Na+ という塩 として存在すると考えられます。
そして
「小腸」だから 生体の中では塩基性条件下という指定なので、高極性イオン型でよいと考えられます。ちなみに、これがもしも「胃」であれば「多くが分子型として存在する」といった記述が妥当と考えられます。選択肢 3 は妥当です。
以上より、選択肢 1 ~ 4 が正しいので
問 213 の正解は 5 です。
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