問 題
主生成物としてメソ体を与えるのはどれか。1つ選べ。
解 説
各選択肢の反応は、いずれもアルケンの付加反応です。以下では、それぞれの反応の主生成物を考えていきます。
1はアルケンに対するハロゲンの付加反応であり、これはAnti付加となります。
よって、互いにエナンチオマーである(1S,2S)体と(1R,2R)体が1:1の割合で生成します。
2も1と同様の反応なので、Anti付加で次のような(2R,3S)体と(2S,3R)体が1:1の割合で生成します。
しかし、(2S,3R)体を画面上で180°回すと(2R,3S)体と完全に重なります。つまり、これらは同一の化合物(=メソ体)なので、これが正解の選択肢です。
3は1,2-ジオール(1,2-diol)化です。アルケンに四酸化オスミウムを反応させると、二重結合が切れ、2つのヒドロキシル基が付きます。この反応は以下のような形で進行するため、syn付加となります。
よって、エナンチオマーの関係にある(2S,3R)体と(2R,3S)体が1:1の割合で生成します。
4はアルケンに対するハロゲン化水素の付加反応です。この場合、2種類のカルボカチオン中間体のうちMarkovnikov則に従う中間体(より安定なカルボカチオン)を経由するほうが主生成物となります。
よって、生成物は上記のラセミ体となります。キラル中心が一つしかないのでメソ体とは関係がありません。
5はアルケンからアルコールを合成するヒドロホウ素化-酸化法という反応です。この反応の特徴は、syn付加であり、また、逆Markovnikov則に従うということです。
よって、互いにエナンチオマーである(1R,2R)体と(1S,2S)体が1:1の割合で生成します。
以上から、正解は2です。
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