問 題
日本薬局方塩化カルシウム水和物(CaCl2・2H2O:147.01)の定量法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
本品約0.4gを精密に量り、水に溶かし、正確に200mLとする。この液20mLを正確に量り、水40mL及び8mol/L( ア )2mLを加え、更にNN指示薬0.1gを加えた後、直ちにイ0.02mol/Lエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム液で滴定する。ただし、滴定の終点は液の赤紫色が青色に変わるときとする。
0.02mol/Lエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム液1mL=( ウ )mgCaCl2・2H2O
- ( ア )に入れるべき溶液は、「アンモニア・塩化アンモニウム緩衝液」である。
- 下線部イの溶液は遮光のガラス瓶に保存する。
- ( ウ )に入れるべき数値は、2.220である。
- Ca2+とエチレンジアミン四酢酸との反応で生じたキレートの錯生成定数は、Ca2+とNN指示薬との反応で生じたキレートの錯生成定数より大きい。
- 本定量法では、試料溶液中にMg2+が共存していても、塩化カルシウム水和物を定量することができる。
解 説
(ア) ですが
104-100 選択肢 1,2 より、EDTA の配位 では、塩基性条件であることが 十分反応するために必要です。これらから「強塩基」が ア には入ると推測したい記述です。すると 弱塩基であるアンモニアではないと考えられます。ちなみに、ア は KOH です。選択肢 1 は誤りです。
(イ) の溶液 保存方法についてですが
EDTA 溶液が 金属と反応しやすいため、ポリエチレン容器に保存します。ガラスに金属が含まれるため、ガラス瓶で保存すると、金属イオンのコンタミネーションが懸念されます。選択肢 2 は誤りです。
(ウ)ですが
キレートは 金属イオンの価数によらず、1:1で反応することが知られています。従って、0.02 mol/L EDTA 2Na 1mL は、0.02 mmol の CaCl2・2H2O と対応すると考えられます。塩化カルシウム水和物の分子量は、問題文より 147.01 なので、ウ は 147.01 × 0.02 mg です。つまり、2.9402mg です。2.220 ではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4,5 は妥当な記述です。
以上より、正解は 4,5 です。
コメント