薬剤師国家試験 第107回 問92 過去問解説

 問 題     

放射線及び放射壊変に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. 放射壊変には 0 次反応速度式に従う過程と、1 次反応速度式に従う過程の 2 通りがある。
  2. 放射能の SI 組立単位はベクレル (Bq) であり、その定義は 1 秒あたりに壊変する原子核数である。
  3. β壊変では、生成する電子とニュートリノにエネルギーが分配されるため、電子のもつエネルギーは連続的な分布を示す。
  4. X 線と γ 線は電磁波であり、波長で区別されている。
  5. γ 転移により放射される γ 線のエネルギーは、壊変する原子核種によらず一定である。

 

 

 

 

 

正解.2, 3

 解 説     

選択肢 1 ですが
放射壊変とは、不安定な原子核が状態を変化させる現象のことです。核種ごとに半減期が決まっています。例えば、14C であれば、半減期が約 5700 年です。半減期が一定であるということは、1次反応速度式に従うと考えられます。0次反応速度式ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2,3 は妥当です。
ベクレル、及び β壊変に関する記述です。

選択肢 4 ですが
X 線と γ 線は、共に電磁波です。前半部分は正しい記述です。後半部分ですが、X 線は 原子核「外」で発生します。γ 線は 原子核「内」から発生します。この発生場所によって区別されます。そして、一般的に X 線より γ 線の方が 波長が短いという特徴があります。「波長で区別」されているわけではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
γ 転移とは、励起した状態が、γ 線放出を伴い、エネルギーの低い状態へ転移することです。特に、励起した状態の半減期が長い場合は、核異性体転移と呼ばれます。壊変する核種により エネルギーは変化します。一定ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2,3 です。

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